大人になったら、いじめなんて自分には関係ない、と思っていましたか?
実は身近なところで、大人のいじめは存在しています。
子どもの間で起こるいじめと同様、とても陰湿で、被害者の心と体を壊してしまうものです。
もし自分が、大人のいじめに直面した時どうすればいいのか、また、身近な人が苦しんでいたらどうしたらいいのか。大人のいじめの実態を知ることで、解決策を考えてみましょう。
そもそも『いじめ』は、『無視』や『仲間はずれ』、さらに身体的な攻撃も含まれます。現在は、他の行為を含め『ハラスメント』という言葉で広く知られています。
『ハラスメント』は、本人が意図したかどうかに関わらず、相手に精神的、身体的な苦痛を与えることを言います。つまり、わざとでなくても、被害者が『不快だ、苦痛だ』と感じたら、それは『ハラスメント』として成立する、ということです。
頻繁に問題となっているのは、次の3つです。
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パワー・ハラスメント
・上司から業務連絡をしてもらえず、仕事に支障を来す
・明らかな業務過多であるのに、上司には能力不足と言われる
・学校、大学の教員に気に入られないと、成績に影響する
このような例は、全てパワー・ハラスメントと定義されます。職務上の地位などを背景に、精神的、身体的な苦痛を相手に与えたり、職場環境を悪化させる行為のことです。
業務上の命令は、あくまで職場でのことに限られます。しかし、その立場を利用して、職場の内外に関わらず、人間性にまで言及し、尊厳を傷付ける人もいるのです。権力を笠に着る行為なので、抵抗が難しく、気付いていながら何もできない、という状況が多いです。場合によっては、退職に追い込まれることもあります。
教育現場においては、『アカデミック・ハラスメント』や、『キャンパス・ハラスメント』と呼ばれます。
ジェンダー・ハラスメント
・上司に肉体的な関係を迫られ、断ると成績評価に響くと言われる
・上司や同僚に、性的な経験についての質問をされる
・容姿を話題に挙げられる
このような例は、ジェンダー・ハラスメントと定義されます。性別に関するイメージや差別意識によって、異性に嫌がらせをする行為です。セクシャル・ハラスメントもこれに含まれます。多くは女性に対するハラスメントとして浸透しましたが、もちろん男性に対しても使われます。
ジェンダー・ハラスメントは、大きく2つの種類に分けられます。
・対価型
・環境型
対価型は、条件を提示し、その対価と引き換えに、肉体的な関係を迫ることなどを言います。返答次第で不当な扱いをする場合もあります。
環境型は、時、場所、相手をわきまえず、性的な発言や行動をし、相手が働きづらい環境をつくる行為です。身体的な接触のほか、例に挙げたような性的な質問や、容姿の話なども含まれます。
モラル・ハラスメント
・職場の同僚に無視され、業務上の連絡は全て文書でなされる
・親の見ていないところで、兄弟、姉妹に、嫌がらせをされる
・恋人から、人格を否定する言葉を繰り返し投げ付けられる
・保育園、学校などの保護者間で、大事な連絡をしてもらえない
以上のように、あらゆる場所で発生するハラスメントです。モラルに反した言葉や態度、文書による嫌がらせのことで、肉体的な暴力ではなく、精神的な暴力が継続し、加害者によって行為が隠蔽されることが特徴です。
他のハラスメントと違うのは、被害者自身がハラスメントに気付かないことがある点です。これは、加害者が巧みにコントロールしているためで、被害者が自分の振る舞いを反省したり、罪悪感に苛まれるように誘導しているパターンが多いのです。
相手にも周りにも気付かれないように、じわじわと行為が続くため、長い時間が経過してからようやく被害に気付きます。その後、被害者はフラッシュバックに悩まされたり、長期的に苦しんでしまうことがあります。
これら3つのような嫌がらせに遭った場合、一番大事なことは『一人で抱え込まないこと』です。
・困っていることをはっきりと伝える
・言えない場合は、無理して言わない
・放置せず、解決するために動く
・相談する相手をよく選ぶ
我慢すればいいと考えて放置してしまうと、悪化の一途を辿るだけで、改善はされません。
以前に比べ、現在はハラスメントに関する相談窓口が、大変充実してきました。職場の窓口の利用が憚られる場合は、公的機関を利用しましょう。周りに悩んでいる人がいる場合は、誰もいないところで声をかけましょう。孤立を防ぐことを第一に考えます。
いじめ、ハラスメントで恐ろしいことは、心身ともに壊れてしまうことです。
うつ病などの精神疾患をはじめ、最悪の場合、自殺を考えてしまうこともあるでしょう。自分の体に異常を来してしまった場合は、ハラスメントの相談も含め、早めに医療機関にかかりましょう。
今まで健康に過ごしてきた人にとっては、心療内科や精神科はなかなか訪れにくい場所です。しかし実は、ちょっとした相談をしに行く、という気分で行っても大丈夫なところなのです。ふらっと保健室に行く、そういった心持ちで、張り詰めた精神を楽にしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?
自分には関係ない、と思っていた『いじめ』が、実は身近な問題として存在していることがわかったと思います。
自分が当事者にならないために、日頃から周りとコミュニーケーションをとり、信頼できる人間関係を築いていきましょう。
もし、図らずも限界を迎えてしまった場合は、絶対に無理をせず、少しずつ改善への道を探っていきましょう。