あなたは、瞑想に対してどんなイメージを持っていますか?
宗教や修行で取り入れられる特別なものだと考える人が多いかもしれません。
ヴィパッサナー瞑想は、自分の呼吸や体の感覚を観察するシンプルな瞑想法です。
忙しい毎日に捕らわれて、心に余裕がなくなっている人が増えているように思います。
精神的に疲れているなと感じたら、心のデトックスをしてあげましょう。
イライラやストレスが溜まっている人にこそ、ヴィパッサナー瞑想は適しています。
やり方はとてもシンプルで、いつでもどこでもできます。
『今この瞬間』に意識を向けて、体は今どう感じているのかを観察します。
始めは難しく感じるかもしれませんが、繰り返すうちに無意識を意識的にコントロールできるようになってきます。
瞑想を行うことによって得られる効果は、科学的にも証明されてきました。
瞑想を行う事で、脳からセロトニン、β(ベータ)エンドルフィンといった物質が分泌され、脳波がα(アルファ)波、θ(シータ)波に変化します。
それにより、集中力が増し、頭の回転が速くなり、ストレスを感じにくくなることがわかっています。
アメリカでは業務効率化のため、社員に対して瞑想指導を行う企業が増えているそうです。
今回は、ヴィパッサナー瞑想の効果とやり方をご紹介していきます。
ヴィパッサナー瞑想とは
ヴィパッサナー瞑想は「観察瞑想」のひとつで、釈迦が悟りを開いたと言われています。
観察瞑想とは、呼吸や感覚をコントロールしようとせず、ひたすら観察をするというものです。
とてもシンプルな原理でありながら、実際にやってみると、とても難しいことがわかります。
なぜなら、人間の思考は過去や未来に行きたがる特長を持っているからです。
今、この瞬間を見つめるということにすぐ飽きてしまい、つい昨日あったことを思い返したり、週末の予定のことを考えたりしてしまいます。
心を今に留めておくことは、簡単なようで難しいものなのです。
人生は『今』の積み重ねからなるもの。過去をどんなに想っても、決して戻ることはできず、未来を考えてもその通りにいくとは限りません。
それでも、人間の心というものは過去や未来をさまよってしまうものです。
そのような雑念を払うのはなかなか難しいことですから、これはまさに修行であると言えるかもしれません。
ヴィパッサナー瞑想が能力開発に繋がることは、科学的にも証明されています。
雑念を持たずに瞑想ができるようになると、脳波にθ波が現れます。
すると、いつもは別々に使われている右脳と左脳が統合され、潜在意識がフルに活用できるようになります。
それにより、頭が冴えて、考えはまとまりやすく、色々なアイデアが浮かんでくるようになります。
結果、心の安定や集中力アップにつながり、全てのパフォーマンスが向上します。
では、具体的にどんな効果が得られるのかを見ていきましょう。
ヴィパッサナー瞑想の効果
瞑想を行うことで、β(ベータ)エンドルフィンや、セロトニンの分泌量が増えることがわかっています。
それにより、ストレスが多いと分泌されるコルチゾールが減り、脳波がα波やθ波に変わります。
α波は、脳がリラックスした状態であり、θ波は、学習や記憶に適した状態です。
その結果、次のような効果が期待できます。
- 潜在意識の力を発揮できる
- 頭が良くなる
- 集中力が増す
- ストレスに強くなる
- 朝の目覚めが良くなる
- 食生活が変わる
- 小さなことが気にならなくなる
- 仕事の効率が良くなる
人間の脳はたった10%ほどしか使われていないと言われていますが、瞑想をして脳を快適な状態に保つことで、もしかしたら脳の稼動域が増えるのかもしれません。
私たちは、日頃から心身ともにストレスフルな生活を送っているため、常に脳がモヤモヤした状態になっています。
それをスッキリ晴らす効果が、ヴィパッサナー瞑想にはあります。
瞑想というと眠くなりそうだし、大した効果はなさそうだなと思っている人も多いかもしれません。
そういう人にこそ、ぜひ試して欲しいと思います。
次にやり方をご説明しましょう。
ヴィパッサナー瞑想のやり方
ヴィパッサナー瞑想自体は、どこでも、何か作業をしながらでも、簡単にできます。
ここでは、家でのスタンダードなやり方をご説明していきます。
1.静かな部屋を選んで座る
ヴィパッサナー瞑想をするときは、なるべく静かな部屋を選びましょう。
座る姿勢は、正座でもあぐらでも構いません。
自分がよりリラックスできる体勢を選んでください。
2.背筋を伸ばして目を閉じる
座るときは、背筋を伸ばすということに意識を向けましょう。
背筋を正すことで、脳が開いていきます。
体制が整ったら目を閉じてください。
3.複式呼吸で深呼吸をする
息を吐くときはお腹をへこませ、吸うときはお腹を膨らませて深く腹式呼吸をします。
ゆっくりと、吐く息がなくなるくらいまで吐き切ることで、新鮮な空気をたくさん取り込むことができます。
空気を体に巡らせるイメージで深呼吸を続けましょう。
4.呼吸観察をする
お腹がへこむ、膨らむことに集中して自分の呼吸を観察します。
このとき、ひたすら呼吸だけに集中し、余計なことを考えないようにしましょう。
しかし、慣れないうちは、どうしても違うことが頭の中に浮かんできてしまいます。
5.雑念が浮かんできても焦らない
静かに考え事をすることが瞑想ではありません。
しかし、もし考え事をしていることに気づいたとしても、焦る必要はありません。
『今、夕飯のことを考えていたな。』と気づいた時点で、その状態を観察します。そして、また呼吸に集中しましょう。
以上がヴィパッサナー瞑想の一連の流れです。
瞑想修行では、これをひたすら10日間続けることもありますが、初心者は5分~1時間を目安にまずはやってみましょう。
疲れてきたなと感じたら、無理に続ける必要はありません。
ヴィパッサナー瞑想の体験談
家でも簡単にできるヴィパッサナー瞑想ですが、ここで本格的な瞑想コースに参加した人の体験談をご紹介します。
インドでは、瞑想を学べる施設がたくさんありますが、日本ではなかなか見つけられません。
しかし日本にも、京都と千葉にヴィパッサナー瞑想センターという施設があります。
そこでは、午前4時から午後9時までひたすらヴィパッサナー瞑想が10日間続けられます。
食事は朝と昼の2食のみで、個人もしくはグループで瞑想を行います。
コースに参加した人の体験談をいくつかご紹介します。
1.自分自身と向き合うことができた
これまでは忙しさに流されて自分が今何に悩んでいるのか、体のどこに不調を感じているかを省みることができていませんでした。
俗世から離れることで全ての時間を自分に使い、今の自分を見つめなおすことができました。
2.早起きができるようになった
朝が苦手で4時の起床が始めはとても辛かったのですが、コースが終わる頃には目覚ましが鳴る前に起きられるようになりました。
今は休日でも早く起きないともったいないと思って、早い時間から活動しています。
3.痩せた
ダイエットを意識していたわけではないのに、体重が減りました。
健康的な食事を摂っていたこともありますが、自然と余計なカロリーは摂りたくないと思うようになっていったからだと思います。
4.アトピーが良くなった
夜になるとかゆくてたまらなかったアトピーですが、自分自身を観察することで体が熱くなって汗をかくとアトピーが悪化することに気づきました。
水枕で体を冷やすことでアトピーの悪化を防ぐことができ、症状はかなり改善されたように思います。
5.仕事のモチベーションが上がった
コースに参加する前は辞めたいと思っていた仕事ですが、社会との接触を離れて改めて自分の仕事の重要性がわかりました。
今は社会のため、会社のため、自分のためにも仕事を通して貢献したいという気持ちでみなぎっています。
ヴィパッサナー瞑想を日常生活で活かす方法
ヴィパッサナー瞑想が脳にもたらす効果があるのだと少しおわかりいただけたのではないでしょうか?
瞑想を続けることで、たとえ満員電車の中でも、周りがうるさい環境でも、心を落ち着かせて集中ができるようになります。
日常生活で活かす方法として、いくつかありますが、たとえば、ヴィパッサナー瞑想をすることで『思考をなくす』ことが可能です。
仕事で嫌なことがあってもカッとならず、人前でプレゼンしなければならないときも落ち着いて話せるようになります。
思考というのは、何かをする妨げになることが多いと言われています。
あなたも、余計なことを考えてしまって挑戦できなかったことがありませんか?
脳が活動を活発にする時というのは、意外にも、何かを考えているときではなく、何かに没頭しているときなんだそうです。
たとえば、ヴィパッサナー瞑想を家でやるときは呼吸と感覚を観察しますが、作業中はその作業を観察します。
『私は書類を作っている。資料を準備している。右手でペンを持っている。』
そして、そのときに沸いてくる感情があれば、それも観察します。
ひたすら観察することで、不快な感情も自然に収まり、ストレスを溜め込んでしまうこともなくなります。
まとめ
忙しい毎日を送っていると、小さなことでもイライラしてしまうことがありますよね。
精神的な疲れがたまってしまうと、人間関係がうまくいかなくなり、仕事にも影響が出てしまうこともあります。。
ヴィパッサナー瞑想を行うと、頭の中がすっきりし、ストレスを感じにくくなります。
そうなれば、心のデトックス効果も期待できますから、ぜひトライしてみてください。
プレッシャーも乗り越えて、人生がうまく流れるようになるはずです。