大人と比較すると、どうしても食べ物の好き嫌いをしやすい子供。
せっかくご飯を作っても、「これ嫌い! 」といって全く手をつけてくれなかったり、具材を細かくして練りむ工夫までしたのにバレてしまったり、ママの悩みは尽きません。
好きなものだけ食べさせてワガママに育ってしまっても困るし、好き嫌いが多くて学校の給食で苦労するのはかわいそうだし、なにより好き嫌いが多いと、栄養面で心配ですよね?
子供は大人とは味覚が違うので、大人になれば自然と食べられるようになることも多いですが、それでもなるべく早く好き嫌いを減らしていってほしいものです。
今回は、なぜ子供が好き嫌いをするのか、好き嫌いを克服するためにはどうすればいいのかをお伝えします。
子供が食べ物の好き嫌いをする原因
まず、なぜ子供は食べ物の好き嫌いが多いのか、その理由を考えてみましょう。
1.味覚が敏感
子供の舌は、大人よりも苦みや辛みを感じやすくなっています。
舌には「味蕾(みらい)」と呼ばれる味を感じる器官があり、子供の味蕾は味を感じる能力が大人の2倍あると言われています。
大人でも、苦いゴーヤや酸っぱい梅干し、辛いキムチや唐辛子など、刺激が強すぎて苦手という人は多いですが、子供の場合はさらに味に敏感なため、ホウレンソウやセロリ、ピーマンなどのちょっとした苦みがすごく苦く感じてしまうのです。
この味覚(味蕾)は、舌が大人になっていくにつれて自然と変わっていくのですが、子供の頃にムリヤリ嫌いな食べ物を食べさせられてトラウマになってしまった場合、苦手なまま大人になってしまうこともあります。
ですから、子供の舌は大人と感じ方が違うということを理解した上で、ムリヤリ食べさせるのではなく、親がおいしそうに食べてみせたりして、いかに食べてみたい気にさせるかが大切です。
大きくなるにつれて、何かのきっかけがあって突然食べられるようになることもあるので、ゆっくりと見守りましょう。
2.食べ物を本能で判断
私たち大人は、梅干しや野菜を体によいものだとわかったうえで、おいしく食べることができます。
しかし、子供の頃は、本能で感じたことが優先されます。つまり、「苦い=毒」「酸っぱい=腐っている」と感じてしまう場合があるのです。
実際には、毒でも腐っているわけでもないのですが、一度、本能が「嫌だ」と判断したものを、子供はなかなか受けつけることができません。
また、ある特定の物を食べた後にお腹が痛くなったり、吐き気を感じたり、のどに詰まらせる経験をしてしまった場合も、「この食べ物は危険なので食べないほうがいい」と本能が判断してしまいます。
3.家庭環境による影響
子供は、見た事のない食材、食べたことのない料理、に警戒心をいだきます。
一口食べてみようとはするのですが、不信感があるため「おいしい」と思えず、その食材が嫌いになってしまうこともあります。
とくに、親に好き嫌いがある場合は要注意です。
親が嫌いな食材は、どうしても食卓に登場する回数が減るため、経験不足によって子供がその食材を嫌いになってしまうリスクが高まるからです。
また、親が「私はこれあんまり好きじゃないんだけどね」と言ったり、食べ物を残しているのを見てしまうと、子供は「これはおいしくない食べ物なんだ」と判断してしまい、嫌いになってしまうこともあります。
子供の好き嫌いに悩んでいる方は、まず自分が好き嫌いをしていないか自問してみましょう。
4.匂いに敏感
子供は、舌が苦いものや辛いものに敏感なだけでなく、ちょっとした匂いにも敏感です。
調理中の魚の生臭いニオイや椎茸の独特な香りに拒否反応を示したり、新しい食器の匂いやまな板の匂いが食品に移っただけで食べなくなってしまうことがあります。
ですから、新しい食器はよく洗って乾燥させる、漆塗りや木製の食器の匂いを拒否する子供の場合は、食器をプラスチック製にするなど、子供の様子を見ながら工夫する必要があるでしょう。
まな板も匂いの移りやすい木製ではなく、プラスチックやセラミックの物を取り入れてみてもいいかもしれません。
子供の食べ物の好き嫌いを放置するとどうなる?
実は、子供の好き嫌いを放置すると、性格に影響が出る場合があります。協調性のない、わがままな人に育つ可能性があるのです。
たかが食べ物の好き嫌いで、性格が変わるなんて・・・と思うかもしれませんが、この食べ物の好き嫌いは「人生で最初の苦手を克服するトレーニング」になるため、子供の性格を形成する上で重要な位置づけにあります。
好きなものだけ食べればいい、嫌いなものはムリしてしなくていい、苦手なものは克服しなくてもいい、というスタンスを取っていると、将来、嫌なことがあった時に適応できる能力や忍耐力が育ちません。
尚、子供は精神的なわがままから好き嫌いをしている場合もあります。つまり、その食べ物が嫌いなのではなくて、単に甘えているだけの場合もあるということです。
食べ物の好き嫌いをなくすうえでは、その子供がどちらなのか見極めて、アプローチの仕方を変える必要があります。
また、自然に食べるようになると思って放置しすぎてしまうと、その食べ物への苦手意識が子供の頭にも舌にも定着してしまい、将来治すのが難しくなることもあります。
子供が好き嫌いをする場合は、無理強いしすぎず、ただし、あきらめずに工夫していくことが大切です。
子供の食べ物の好き嫌い克服方法
子供の好き嫌いはどうやって克服していけばいいのか考えていきましょう。
1.調理法を変える
子供に苦手な食材があるとき、まずは調理法を変えてみましょう。
ただ、食材がなにかわからないぐらい細かく刻んだり、味付けを変えてみたり、色々な方法があるなかで、どれからやっていけば一番効率的に答えにたどりつけるのか知りたいですよね?
実は、効率的にその調理方法をみつけるコツがあります。
それは、なぜその子供がその食材を嫌うのか、その原因を見つけること。
食べ物を嫌う理由は、匂いであったり、味であったり、食感であったり、見た目であったり、子供によってさまざまです。
たとえば、食材を細かく切ってハンバーグや卵焼きに練りこむという方法は、食感や見た目が苦手という子供には好き嫌い克服方法として効果的ですが、匂いや味そのものが原因だった場合、あまり効果はありません。
匂いや味が好き嫌いの原因であれば、食材の味がまったくわからないように味付けをしっかりとする、もしくは、子供が好む甘めの味にするという調理方法を選択すべきなのです。
2.子供のお腹をちゃんと空かせておく
ご飯の前に「お腹がすいた」と騒がれたり、泣かれたりされると、つい、少しだけおやつや果物をあげてなだめていませんか?
どんなに食事法を工夫しても、子供のお腹が空いていなければ、食べれるものも食べられません。
「空腹は最高のスパイス(調味料)である」という言葉があるように、子供の食べる意欲を引き出すためには、お腹を空かせてあげるのが一番です。
空腹を我慢させるということは、決して悪いことではありません。
お腹が空いたと騒がれたら「あと30分でご飯だよ、楽しみだね」と声をかけるなどして、安易におやつを与えすぎないようにしてみましょう。
ご飯を待つことができる、という新たな子供の一面を発見できるかもしれませんよ。
3.買い物や料理を一緒にする
一緒に食材を買いに行ったり、料理の一部を手伝わせることで、子供に食材への興味を持たせることができます。
たとえば、トマトやニンジンを洗ったり、ピーラーで皮をむいたりさせてみてください。
食べる時に「これは〇〇くんが皮をむいてくれたにんじんだよ。」「これは〇〇ちゃんが洗ってくれたトマトだよ。」というと、自分がご飯作りに関わったという達成感から、食べ物により興味を示し、嫌いなものでも食べようとするケースは多いです。
もし台所でのお手伝いが難しいようであれば、食器を運んだり、お箸を配膳するだけでもいいでしょう。
子供の年齢や成長によって、お手伝いの内容を変えて、食材に興味をもたせてみてください。
4.野菜を一緒に育てる
買い物や料理以前の段階、つまり、野菜を育てるところから親子でチャレンジしてみるのも、子供の好き嫌いを治すのに効果的です。
嫌いな野菜でも、自分で育てたと思うと愛着がわくと、食べられるようになることがあります。
ベランダや庭がなくて家庭菜園が難しいという方は、家族でレジャーがてら、果物狩りや野菜狩りに行くのもいい方法です。
5.ムリ強いはしない
子供の食べ物の好き嫌いを治すために、お母さんはあれこれ大変なのはわかりませんが、ひとつだけやってはいけないことがあります。
それは、食べ物をムリヤリ子供の口に入れたり、泣いてもムリヤリ食べさせることです。
嫌いな食べ物を強制されるうえに、怒られ、泣かされると、それがトラウマになってしまいます。その食べ物と嫌な感情が結びついて、余計嫌いになってしまうのです。
食べ物の好き嫌い克服法のポイントは、怒る、泣くなどの感情を持ち込まないこと。
食事は楽しいもの、と思えたほうが、子供も食べ物への好奇心がわき、好き嫌いが治りやすくなります。
6.苦手な食材との接触回数を増やしてあげる
嫌いな食べ物も、何度も接触しているうちに慣れてくる場合があります。
子供は見慣れない、食べ慣れない食べ物は、本能から警戒する傾向があります。
ですから、嫌いな食材を食べることをムリ強いはしないながらも、頻繁に食卓に登場させて慣れさせる作戦を使うのです。
親がおいしそうに食べているのを何度も見ているうちに、少しずつ自然に興味がわいてくるかもしれません。
7.一口だけ作戦
苦手な食材との接触回数を増やす時に一緒に試してほしいのが、一口だけ食べてみてもらう作戦です。
まずは、本当に小さく切ったかけらや小さなスプーン一杯でかまいません。
嫌いなものでも、たったの一口だけなら意外と食べてくれたりします。
そしてほんの少しでも食べることができたときは、しっかりと褒めてあげましょう。
褒めたり、喜んだりして食卓が楽しい雰囲気になると、食事がさらにおいしく感じられます。
最初は一口しか食べられなくても、少しずつ慣れてきて、パクパク食べられるようになることもあります。
8.競争心を刺激する
食べ物の好き嫌いは環境による影響が大きく、親と子供の嫌いなものが一致するケースが多いです。
もし嫌いな食べ物が親子で一致しているようなら、どちらが多く食べられるかゲーム感覚で競争してみましょう。
子供ががんばって食べたときは
「お父さんはこれだけしか食べられなかったのに、〇〇ちゃんはこんなに食べられたね、エライ! 」
というようにしっかりと褒めてあげましょう。
また、同じ年頃の友達と食事をする機会を作ってあげるのもいいでしょう。
友達が自分の苦手なものを好き嫌いせずに食べていたら、「わたしも食べてみようかな」と思うきっかけになることもあります。
食べ物の好き嫌いが多い大人はどうすればいい?
食べ物の好き嫌いがあるのは、なにも子供に限った話ではありません。
大人の中にも、好き嫌いをする人はいます。
大人の食べ物の好き嫌いを治すには、嫌いな食材を自分で調理するのが効果的です。
普段料理をしないお父さんなら、嫌いな食材を使って一度料理してもらいましょう。
食べ物そのものや料理してくれた人へ感謝の気持ちがわいてきて、嫌いだった食べ物も頑張って食べようと思うようになります。
また、外食で嫌いな食べ物をあえて頼んでみるのもいいでしょう。
会社の上司や取引先相手など、食べ物を残したら失礼にあたる相手との食事なら食べざるをえないはずです。これは、とくに食わず嫌いをしている人に有効な方法です。
まとめ
子供が食べ物の好き嫌いをする原因や克服方法をお伝えしましたが、いかがでしたか?
子供の場合、食べ物の好き嫌いは放っておいても克服できてしまう場合もありますが、食べ物の好き嫌いを放置してしまうと、ワガママな性格になってしまってしまう場合もあります。
親であれば、そのようなリスクは取りたくないはずです。
ですから今回紹介した方法で、子供のうちに、食べ物の好き嫌いを克服させてあげてください。
ムリに食べさせたり、怒ったりするのは、子供が委縮してしまうので、逆効果です。
ほんの少しでも食べることができたら、すこし大げさに、しっかりと褒めてあげましょう。
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