信頼残高という言葉を聞いた事がありますか?
お金は、銀行口座に預け入れるとプラスになり、引き出すとマイナスになります。私たちは無意識のうちに、銀行口座の残高に気をかけて生活しています。残高が多ければ安心し、少なくなると心配しながら生きているのが、生活実感というものでしょう。
お金は生活上必要不可欠のものですが、だからといって、お金さえあれば全てのものが手に入るわけではありません。お金と同様、生きる上で必要不可欠なものといえば人間関係も同じです。
人間関係は、信頼関係で成り立っていますが、お金で買うことはできません。銀行口座のように、残高が目に見えるわけでもありません。
銀行口座は、預け入れるとプラスになり、引き出すとマイナスになります。残高が多ければ多いほど生活は豊かになります。
信頼関係は、銀行口座のように目で見ることはできませんが、信頼できる行いを積めば預け入れと同じでプラスになり、信頼を失う行いは引き出すのと同様マイナスになります。
残高が多いほど信頼が高く、少ないほど信頼がない、ということになります。これを信頼残高といいます。
それでは、信頼残高を増やすもの、失うものは、何でしょうか?
人間関係は、信頼関係で成り立っています。私たちは、家族からビジネスに至るまで、生きている限り人間関係とは切っても切れない関係にあります。
信頼を失った瞬間、人間関係は破たんしてしまいます。信頼とは、その人の人生を左右する重要なものであることは言うまでもありません。
だからこそ、信頼を築くための努力を惜しむことなく積み重ねることが大切です。信頼を築くためには、常に相手を思いやり、配慮する心掛けの上に立った行いが信頼口座への預け入れであり、自分本位な振る舞いは信頼口座から引き出す行いです。
信頼残高は、貯まるほど信頼が厚くなっていきますので、預け入れのために日々心掛けなければなりません。そこで今回は、信頼残高の貯め方、増やし方について考えます。
約束を守る。
信頼の原点は、約束を守ることにあります。時間の約束、仕事上の約束、秘密を守る約束…約束は様々ありますが、約束を守ることは相手への配慮であり、信頼関係を築く基本です。
口約束という言葉がありますが、うわべだけ取り繕(つくろ)っても、言い逃れをして約束を反故(ほご)にするようなことがあれば、一辺に信頼は失われてしまいます。
初対面の相手に対してでも、約束の時間を守らなかった、ということだけで以後人間関係を深めていくことは困難になってしまいます。約束は信頼関係を築く上での基本です。
陰口、悪口を言わない。
本人に直接いいにくいことがあっても直言すれば悪口にはなりませんが、本人がいないところで批判すると陰口、悪口となり信頼を失います。いつも陰口ばかり叩いていると、自分のいないところでは、陰口を言われているのではないか、と相手は疑心暗鬼に陥ってしまいます。
相手と一緒になって陰口を吐き出しあうことは、意気投合しているように見えますが、信頼口座をお互いに引き出しあっていることになります。こんな時には努めてその人を善意に解釈して理解を示すことが信頼残高を増やすことになります。
愚痴をこぼさない。
いつも愚痴ばかりこぼしていると、周囲を暗くさせます。暗い雰囲気のところに人は集まってきません。集まってくるとしても、同じように愚痴を吐く人ばかりです。
愚痴を言い合っていても生産性のない話を繰り返すばかりで、信頼残高は減るばかりです。いつも、建設的な話をすることによって信頼残高は増えていきます。
期待に応える。
ビジネスにおいても、私生活においても、期待されたことに応えて結果を出すことによって信頼関係が深まっていきます。期待される内容には、高いレベルを求められることもありますが、日常的な小さなことや誰にでもできることへの期待を裏切らないことです。
例えば、親しい人が非難されているような場面でも、勇気をもってその人の立場になって弁護する、という行動を示すことによって相手の期待に応えることになります。親しい人が非難されているのに、弁護もできない、となれば期待を裏切られた気持ちになります。
裏表がない。
相手によって言うことがコロコロ変わる人は、信頼されません。
ビジネス社会などでは、力や権力の強い人に対して、心とは裏腹に『ごもっとも』『おっしゃる通り』と機嫌ばかり取るイエスマンがいます。そのくせ、ほかの場所ではその人を批判したりします。
結局は保身のために、その時々で二枚舌を使う人は信頼されません。信頼残高を減らすことになります。常に嘘をつかないこと、自分の心に忠実であることが信頼残高を増やします。
謙虚な気持ちで接する。
いつも『上から目線』で話す人がいます。相手にとっては、不愉快な印象を持ちます。
いつも勝ち負けだけにこだわったような態度を表したり、プライドをひけらかす行為は、信頼を失います。傲慢な態度は『偉そうなやつ』『一体何様のつもり』と不快感を持ちます。
常に謙虚な気持ちで人と接する姿勢が、信頼残高を増やしていきます。また、ミスを侵したり相手に迷惑をかけたときに、言い訳したり隠したりせず、素直に謝罪することによって、マイナスを帳消しにし、却って信頼され信頼残高を増やすことになります。
まとめ
いかがでしたか?
信頼残高を増やすとは、つまり、徳を積むことに他なりません。『信頼』とは、その人のアイデンティであり財産です。
しかし、信頼残高は、預金残高のように目には見えません。見えないところで人のためにする行いを陰徳といいます。
信頼残高とは、徳を積むことと言い換えることができます。ここに掲げた信頼残高の増やし方は6つですが、徳を積む行いは他にもたくさんあります。
目には見えない善意、誠意の積み重ねは、お金では買えない『信頼』という大きな財産を手に入れることができるのです。
非常に重要な事なので、もう一度おさらいです。
①信頼を築くことは良好な人間関係にとって大切なことである。
信頼残高とは、銀行口座の残高と同じように、信頼される行いは残高を増やし、信頼を失う行いは残高を減らすという考え方のことである。日々、信頼残高を増やすような心掛けによって厚い信頼を得る為の努力が大切である。②ここに掲げた6つの信頼残高の増やし方を常に心がけることによって、信頼を増し良好な人間関係を築くことにつながる。
③信頼残高を増やすとは、徳を積むことである。
是非、みなさんも、信頼残高を貯めて、人間力を高めましょう。