『人は、人と人の間で生きていくから、人間なんだ』
なんてことを言われる時もあります。
とはいうものの、人が2人以上集まれば、もめたり、関係が悪くなったりしてしまうときもあります。いったん悪くなってしまった人間関係を改善するのは、とてもエネルギーが要ることです。
何とかしようとがんばったのに、更に悪化してしまった…という苦い経験がある方もいるかもしれませんね。
今回は、そんなあなたに、心理学の考えを基に抽出した『ここを押さえれば、人間関係を改善できる』というポイントをお伝えします。
どれもシンプルなものですが、積み重ねていくことで変化を生み出すことができますよ。
挨拶をしよう
人間関係改善のために一番初めにすべきこと。誰でも気持ちさえあればできること。
それは挨拶です。
朝会ったら『おはよう』『おはようございます』と、相手に聞こえるはっきりした声で、あなたから挨拶をしましょう。
はずかしがって小さい声で言ってはいけませんよ。
有名なアメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した『欲求の五段階説』というものがあります。をご存知でしょうか?
これは『 人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲する 』というもの。
マズローはこの5段階の欲求に重ねて『 承認の欲求 』の重要性をあげています。
『承認』するということは、文字通り『あなたがそこにいて、あなたの考えや感情や行動等を持っていることを、私は認めます』ということです。自分以外の人に承認されることで、人は自分自身をも認めていくわけですから大切な欲求です。
挨拶をする、というのは、第一段階の『承認』(=あなたがそこにいることを、私は認めています)の意味合いをもつのです。
しかも、毎日きちんと挨拶を繰り返していくことでそれは安定していきます。
人間関係を改善したいなら、まず、挨拶をしっかりしましょう。
ありがとう
住友生命が、2010年に『 あなたを笑顔にしてくれる言葉はなんですか? 』というアンケートを実施したところ、結果は以下の通りだったそうです。
第1位 『ありがとう』 (48.4%)
第2位 『大好き』 (9%)
第3位 『愛している』 (2.5%)
割合で見ると、『ありがとう』は、2位以下に大きな差をつけていることがわかります。やはり、『ありがとう』と言われると、嬉しいものなのですね。
人間関係を改善したいなら、この言葉を使わない手はありませんね。積極的に使っていきましょう。
ちょっとしたこと、例えば、物をとってもらったとか場所をあけてくれたとか、そんな場面でさっと『ありがとう』をはさみましょう。『ありがとう』という言葉は、言い慣れると、さらさらと出てくる言葉の一つです。また、伝染していく言葉でもあります。
ぜひあなた発信で、『ありがとう』と笑顔を伝染させていきましょう。人間関係が改善されていくための種を蒔いていきましょう。
すみません、ごめんなさい
お礼がしっかり言えてきたなら、こちらも増やしていきましょう。
ただし、『ありがとう』というべき場面で『ごめんなさい』と言わないようにしたいものです。
『 日本人は thank you のかわりに sorry を使う 』
と欧米人に言われるらしいですが、意識して自分の日常を見てみると、思わず納得してしまう人も多いのではないでしょうか。
お礼を言うときと、謝罪をするときをしっかり分けて伝えるのは大切ですね。
謝るべき時にはっきりと
『すみません』
『ごめんなさい』
と言えると、あなたの印象は必ず良くなります。
無意識に、『 謝ることは負ける事』 と思っているタイプに人もいますが、それは勘違いです。
謝れない人に、人は気を許しません。
気を許すということは、味方になるということ。人間関係のなかで大切な感覚です。
相手の名前を呼ぶ
先ほどの、『ありがとう』と並ぶほど(あるいはそれ以上)好きな言葉がある…としたら何でしょう?
それは、『自分の名前』ではないでしょうか。
人間関係は、名前を呼び合うことで本格的にスタートするのかも知れません。
人は、親しみ込めて名前を呼んでくれる人に仲間意識や信頼感を持ちます。
ビジネスシーンでも、名刺交換した際にしっかりと、相手を名前で呼ぶことができれば、途端に親近感が生まれます。
メールを送るときも、文章中にすくなくとも1回は相手の名前を入れるとよいでしょう。
名前は、その人にとって最も気持ちの良い音、最も聴き取りやすい音なのだそうです。カクテルパーティーのように、たくさんの人が雑談をしている中でも、自分の名前だけは、自然と聞き取ることができます。人の耳は、興味のない音は雑音として処理し、好きな音を選び取って聞く能力が備わっています。
このような聴覚の力を、心理学では『カクテルパーティー効果』と呼びます。
社会心理学者の渋谷昌三先生は『自我関与』について説明しています。
自我関与とは、『ある事柄を自分に関係があるものとして考えること』です。
どうやら人は、○○さんと名前を呼ばれると、その話題や出来事に、『自分も深く関わっている』と認識し、呼びかけてくれた人に好意を持ち、『その人のために、なにかをしたい』という気持ちになるようです。
人は、相手のことを知ったときより、自分のことを知ってもらえたときに心が開きます。
そして、『 あなたを大切に思っている 』という気持ちを端的に表現する方法が、名前を呼ぶことなのですね。
あなたが誰かとの関係を改善したいと思うなら、名前で呼びかけてみましょう。
人の意見を聞く
名前を呼んで心を開いてもらったら、そこから出てくる思いや考えをきちんと受け止めましょう。相手の話をきちんと聞くのです。
聞いているうちに反対したくなるような内容が出てくるかもしれませんが、まずは最後まで、あいづちを打ちながら聞きます。聞き終わった後に、『私はこう思う』と改めて説明をすればいいのです。
なぜそうするのか?
想像してみて下さい。
こちらが話し始めてすぐに否定や反対をする人に、素直に話したいと思いますか? 一緒にいて楽しいですか
楽しくありませんね。
相手にされて気持ちいいことを、相手にしていきましょう。それがわかるアンテナをもちましょう。その思いが人間関係を改善していく大きなカギとなるはずです。
まとめ
いかがでしたか?
いったん悪くなってしまった人間関係を改善するのは、勇気が必要ですね。でも、大きな勇気でなくてもいいのです。
まず、挨拶をする。そこからじっくり始めましょう。
大丈夫。声は、出し始めれば、出やすくなっていきます。
誰かが始めれば、他の人はやりやすくなるのです。多くの人はいい雰囲気の場所が好きなのですから。
この記事が少しでもあなたのお役に立てることを願っています。