私たちは幼い頃から
「命が尽きたら生前の行いによって天国か地獄のどちらかに行く、だから生きている間に悪いことをしてはいけない。」
そう教えられてきました。
死んだ後は、閻魔様の審判によって地獄行きかどうかが決定されるといいます。
絶対に行きたくない地獄ですが、あなたは地獄がどういうところなのか詳しく知っていますか?
悪いことと言っても、具体的に何をしたら地獄に落とされてしまうのでしょうか?
一口に地獄といっても、地獄にも種類があります。
罪の重さによって8階層(八大地獄)に分かれているのです。
地獄ですから、一番軽い階層でも相当重い拷問が待ち受けています。
また、一番遠い第8階層には、到達するだけで最低2000年もかかるとか・・・、想像もつかないレベルの遠さですね。
かつて国獲り合戦でしのぎを削った戦国武将たちも、今この瞬間もまだ落ちている最中で、地獄に到達していないことになります。
今この世に生きている人で実際に地獄へ行ったことのある人はいませんから、地獄が本当に存在するのかは誰にもわかりません。
しかし、地獄の8つの種類(八大地獄)を良く理解し、地獄へ落ちなくて済むような生き方をしていれば、地獄へ落ちる心配はいりません。
各階層にはどんな人が落ちて、どんな罰を受けるのか、詳しく見ていきましょう。
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地獄ってどんなところ?
「悪いことをすると、閻魔大王に裁かれて地獄に落とされ拷問を受ける。」
日本人であれば、なんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。
辛く苦しい場所であることは察しがつきますが、地獄はどこにあって、どのくらいいなければいけないのか、知らない人も多いでしょう。
ここでは、まず地獄の概要からご紹介します。
地獄は「奈落(ならく)」とも言われますが、語源はサンスクリット語の「Naraka(ナラカ)」からきています。
「奈落の底」と表現されるように、全ての世界の最下層に位置しているのが地獄で、その広さは14万4千kmに渡ると言われています。
その地獄にも種類があり、生前犯した罪の重さによって落とされる階層が異なります。
地獄には閻魔大王をはじめとする10人の王がいて、ひとりの王が7日ずつかけて死者の裁判を執り行います。
初七日や四十九日といった法要の折に、このような裁判にかけられるのです。
審判の際、「浄玻璃(じょうはり)の鏡」によって生前の行いの全てが映し出されますので、閻魔大王の問答には嘘はつけません。
それでも嘘をついた場合には、舌を抜かれ、さらに罪が重くなってしまいます。
ちなみに、遺族にどれほど惜しまれて亡くなったのかが減刑の判断基準になるそうです。
死んでしまったら何もわからないのだから、立派な葬儀は不要という考えもありますが、しっかりと送り出してあげる必要がありそうですね。
また、三途の川を渡る際に「舟の渡し賃」を持っていないと、係員の翁(おきな)と嫗(おうな)に衣服を奪われてしまいます。
奪われた衣服の重さで罪の重さが測られるという説もありますから、渡し賃は必ず持っていたいものです。
「渡し賃の6文」は通常、遺族が紙で作成したものを棺に入れておくのが一般的です。
また、三途の川には「賽の河原(さいのかわら)」と呼ばれる河原があり、親より先に亡くなってしまった子供が親不孝の罪を償うために石を積み上げています。
子供が供養のために積み上げても積み上げても、鬼に崩されてしまうという物語を耳にしたことがある人もいるでしょう。
基本的に、地獄は熱風や臭気が漂う劣悪な環境となっており、さらに餓鬼・畜生・修羅といった鬼たちから拷問を受ける場所なのです。
地獄8つの種類(八大地獄)
地獄は、生前の罪の重さごとに8つの種類に分かれていると言われています。
それぞれの階層について詳しくご紹介します。
1.等活地獄
ここは、いたずらに虫や動物を殺生し懺悔もしなかった人が落とされる地獄です。
一番浅い階層ですが、それでも地上より7,200kmほど下に位置しています。
食べるために動物を殺すこと、蚊やゴキブリを殺すことも罪になりますから、少なくともベジタリアン以外は全員地獄へ落ちてしまうことになりますね。
この地獄に落ちると、他の罪人になぜか怒りの感情が沸き、殺し合いをしなければならなくなります。
殺し合いで死んでも、鬼の「活活(活きよ、活きよ)」の一言で蘇らされ、殺し合いを繰り返さねばなりません。仮に殺し合いに参加しなかったとしても、鬼に殺されます。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて1兆6653億年です。
しかし、地獄時間の1日は人間界の500日に相当しますので、実際には9,125万年になります。
いずれにしても永遠のような長さですね。
ただ、等活地獄には抜け道があり、地獄の門を抜け出すことも可能です。
しかし、抜け出したところで、外には16種類の小地獄(十六小地獄)があり、キツい刑が待ち受けています。
等活地獄の十六小地獄には、次のような地獄があります。
1.屎泥処(しでいしょ)
煮えたぎる糞尿をムリやり食べさせられ、食べると体内でぎょう虫が孵り腸を食いちぎられます。
2.刀輪処(とうりんしょ)
葉の形をした剣山を駆け上ることになり、体が八つ裂きになります。
3.おう熟処
鬼に皮をはぎとられ、熱した鉄の釜の中でひたすら煮られます。
4.多苦処(たくしょ)
鬼に熱した鉄球をお腹に埋め込まれたり、体を切断されたり、数え切れない種類のいじめを受けます。
5.闇冥処(あんみょうしょ)
何も見えない暗闇の中、熱風や燃えたぎる闇の炎で炙られます。
6.不喜処(ふきしょ)
常に炎が燃えさかる中で火の鳥や狐、犬に肉から骨の髄まで食い尽くされます。
7.極苦処(ごくくしょ)
鉄火で焼かれ、燃えてなくなっても鬼に生き返らされて崖からさらに炎の谷に突き落とされます。
8.衆病処(しゅうびょうしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
9.両鉄処(りょうてつしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
10.悪杖処(あくじょうしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
11.黒色鼠狼処(こくしょくそろうしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
12.異異回転処(いいかいてんしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
13.苦逼処(くひつしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
14.鉢頭麻鬢処(はちずまびんしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
15.陂池処(ひちしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
16.空中受苦処(くうちゅうじゅくしょ)
どのような拷問があるかは解明されていません。
ここまでがレベル1の等活地獄ですが、すでに最下層ではないかと思えるほどの残酷さですよね?
しかし恐ろしいことに、ここからさらに激しさが増していきます。
2.黒縄地獄
ここは、殺生をしただけでなく、盗みも働いた人が落とされる地獄です。
コンビニなどで万引きする人はもちろん、友達に借りた本をうっかり返し忘れてしまった場合も盗みと判断されます。
その他、本来は病人に使うべき薬をむやみに乱用したような場合もここへ落とされるそうです。
この地獄に落ちると灼熱の板の上に寝かされ、焼け焦げた黒い縄で体中に何千本もの線を引かれます。
そして、その線に沿ってのこぎりで千切りにされるそうです。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて13兆年ほどです。
黒縄地獄の周りにも、小地獄が付属されています。
1.等喚受苦処(とうかんじゅくしょ)
真面目に働きもせず嘘を吹聴した人と投身自殺をした人が落とされます。
焼け焦げた黒い縄で拘束されたまま炎と剣山が敷き詰められた崖下に落とされます。
2.畏鷲処(いじゅしょ)
他人の食べ物を奪い、その人を飢え死にさせた人が落とされます。
鬼が時間をかけて、なぶり殺しにされます。
3.旃荼処(せんだしょ)
病気に用いられるべき薬品を健康にも関わらず乱用した人が落とされます。
鷲や猪に目をつつかれ、舌を食い抜かれ、さらに鬼に斧で切られます。
3.衆合地獄
ここは、殺生、盗みに加えて淫らな行いをした人が落とされる地獄です。
配偶者以外と不貞行為を行った人や痴漢、セクハラを働いた人などが落とされます。
それだけでなく、何気なく下ネタを言ったりするだけでも落とされてしまいます。
この地獄に落ちると、刃の葉でできた刀が広がる林の中で、木の上にいる美女・美男子の誘惑を受けます。
呼ばれるまま血だらけになって木の上に上ると、美女・美男子は木の下に移動しており、今度は木の下から呼ばれます。
移動するごとに体から血が噴き出し、あらわれた鉄の巨象に踏み潰されます。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて106兆5800億年ほどです。
衆合地獄の周りにも、十六小地獄が付属されています。
1.悪見処(あくけんしょ)
他人の子供を陵辱した人が落とされます。
体をひっくり返されてめくられ、高熱で溶かした銅を肛門から流し込まれます。
自分の子供がいる人は、その子供も死後同じ地獄に落とされ同じ目に遭います。
2.大量受苦悩処(たいりょうじゅくのうしょ)
異常な性交渉を行った人、またそれを真似した人が落とされます。
肛門を火剣から腰にかけて串刺しにされたのち、男性は睾丸をつまみ取られ、女性は卵巣を剥がされます。
3.割刳処(かっこしょ、かちこしょ)
口淫を行った人が落とされます。
口から頭に向かって鉄杭を貫通させて抜き、次に口から耳に向かって鉄杭を貫通させて抜きを繰り返して苦痛を与えられます。
さらに、口から熱した銅を流し込まれ内蔵を焼かれます。
4.脈脈断処(みゃくみゃくだんしょ)
男性に淫らな行為をした女性が落とされます。
口から灼熱の赤銅を流し込んで内臓を焼かれ、「私は孤独です。」と叫ばされます。
5.団処(だんしょ)
牛や馬で獣姦を行った人が落とされます。
地獄の牛や馬に同じことをしようとして、性器を通じて炎が体内に入り込み体を焼き尽くされます。
6.多苦悩処(たくのうしょ)
男性の同性愛者が落とされます。
生前に愛した男性が現れ、その人が燃やされるのを目の前で見せられます。
さらに愛し合おうとするとその男性の炎が移り共に燃えます。
7.忍苦処(にんくしょ)
人の妻を奪ったり、自分の妻を他人へ差し出したりした人が落とされます。
鬼に逆さ吊りにされ、下から火で炙られ呼吸をすると肺にも火が移ります。
8.朱誅処(しゅちゅうしょ)
ロバや羊で獣姦を行った人が落とされます。
鉄のアリが体の中を這い、肉、骨、内臓を食べられます。
9.何何奚処(かかけいしょ)
親近相姦を行った人が落とされます。
燃え盛る炎の中で焼かれ、鉄の鳥の口ばしで体を食い尽くされます。
その叫び声は転生前の罪人にも聞こえるほどですが、罪人にはそれが喜びの声に聞こえ、そこに行きたいと自ら願ってしまうのだそうです。
10.涙火出処(るいかしゅっしょ)
尼僧と性交渉を行った人が落とされます。
自分自身の涙が炎に変わり全身を焼き尽くします。
鬼には目に毒針を刺され、肛門をはさみで切られ、そこに熱したロウを流し込まれます。
11.一切根滅処(いっさいこんめつしょ)
女性の肛門で性交渉を行った人が落とされます。
鬼に鉄の轡(くつわ)で口を広げられ熱した銅を、耳にはロウを流し込まれます。
さらに鉄のアリには目を食われ、常に刀が降り注ぎます。
12.無彼岸受苦処(むひがんじゅくしょ)
妻以外の女性と不倫した人が落とされます。
病苦、火、熱灰、刀などによる責め苦に次々と襲われます。
13.鉢頭摩処(はちずましょ)
僧であるにも関わらず、出家前にいた恋人のことを忘れられずに夢の中で関係を持ち、さらに淫欲の徳を説いた人が落とされます。
鬼に瓶詰めにされて煮られ、鉄の杵でつぶされます。
やっとの思いで逃げ出しても、鉄の釘に足を引き裂かれさらに追っ手の鬼に刀や斧で切りつけられます。
14.大鉢頭摩処(だいはちずましょ・まかはちづましょ)
僧であると偽った上、戒律に従わなかった人が落とされます。
高温に熱されたロウの湖の中に落とされ、体がバラバラになり目は石に、肉は汚泥に変化します。
やがて魚の姿になり、鳥に食われます。
15.火盆処(かぼんしょ)
僧のふりをしながらも煩悩を持ち、女性に興味を持ったり世俗品に執着し正しい法を説かなかった人が落とされます。
体が蝋燭(ろうそく)になったように燃え上がり、涙を流すと目や耳や鼻から炎が伝って内臓や骨まで燃やし尽くします。
16.鉄末火処(てつまっかしょ)
僧と偽り僧のフリをしながら装飾品や女性に興味を持って淫らな想像にふけった人が落とされます。
熱壁に囲われ逃げ場の無い中で灼熱の鉄が雨のように降り注ぎ体を貫かれ焼かれ続けます。
4.叫喚地獄
ここは、殺生、盗み、邪淫に加えて飲酒をした人が落とされる地獄です。
自分がお酒を飲むだけでなく、他人にお酒を飲ませても落とされてしまいます。
他人にお酒を強要した挙句、笑いものにでもした場合は、より重罪になります。
「お酒を飲んだだけで、なぜ地獄に落ちるんだ! 」と歯向かうと、さらなる厳罰が与えられるそうです。
この地獄に落ちると、熱湯の釜や烈火の鉄室に放り投げられ、頭は金色になり、目からは火を噴き、巨大な鬼に弓矢で射られたり、焼けた鉄の地面を走らされたり、さらには鉄の棒で打たれたりします。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて852兆6400億年です。
叫喚地獄の周りにも、十六小地獄が付属されています。
1.大吼処(だいくしょ)
禁酒している人にお酒を強要した人が落とされる地獄です。
人にお酒を強要したときのように溶けた白ロウをムリ矢理飲ませられます。
2.火雲霧処(かうんむしょ)
人に酒を飲ませて酔わせからかい、笑い者にすると落とされる地獄です。
炎と灼熱の熱風で地上100mまで吹きあげられ、空中で体が回転し縄のようにねじれて体が切れ、最後には消滅します。
3.普声処(ふしょうしょ)
修行中の身で飲酒した人や、受戒した人に酒を飲ませた人が落とされます。
鬼に鉄の杵で叩かれ、その叫び声は他の階層にまで響き渡るほどの苦痛だと言われています。
4.髪火流処(はっかるしょ)
戒律を守っている人に酒を飲ませて、戒律を破らせた人が落とされます。
鉄の犬に足を噛み付かれ、鉄の鳥に頭蓋骨をつつかれ脳髄を吸われ、狐の大群に内臓を食われます。
5.火末虫処(かまつちゅうしょ)
薄めた酒を売って設けた人が落とされます。
ここには水・火・風・土の四大要素からなる404の万病が存在し、罪人の腹に虫が湧いて内臓から骨・肉まで食われます。
6.熱鉄火杵処(ねつてっかしょしょ)
鳥獣に酒を与えて朦朧とさせて殺生した人が落とされます。
鉄の杵を持った鬼に追い回され捕まると粉々に砕かれます。
その後再生させられ、次は刃物で肉を切られ細切りにされます。
7.雨炎火石処(うえんかせきしょ)
旅人に酒を飲ませて金品を奪った人、像に酒を飲ませて故意に暴れさせ人の命を奪った人が落とされます。
降り注ぐ熱石の雨に打ちぬかれて体中に穴があき血が噴出し、巨象に踏み潰されます。
8.殺殺処(せつせつしょ)
女性に酒を飲ませ酔わせて関係を持った人が落とされます。
鬼に鉄の鉤で男根を引き抜かれ、さらに再生した男根をひたすら引き抜かれます。
逃げ出すと大量の鷹、鷲、鳶が飛んできて全身をつつき食われます。
9.鉄林曠野処(てつりんこうやしょ)
酒に毒を混ぜて他人に飲ませた人が落とされます。
燃え盛る大車輪に体をくくられ、回転させながら鬼が的を絞って矢を放ちます。
10.普闇処(ふあんしょ)
酒屋を生業とし、無知な人に少しの酒を高額で売りつけた人が落とされます。
闇の中で鬼に永遠のような長さの時間ムチで打たれ続け、最後には頭を2つに割るように斧で切断されます。
11.閻魔羅遮曠野処(えんまらこうやしょ)
妊娠中の女性や病人に酒を与え、食料や財産を奪った人が落とされます。
足から頭へと順に燃えていき、その後鬼に足から頭へと順に刀で切りつけられます。
12.剣林処(けんりんしょ)
荒野で出会った旅人を騙して酔わせ、強盗や殺人を犯した人が落とされます。
灼熱の石が降り注ぐ血と銅、ロウが混ざった河の中で鬼に叩かれたり、切りつけられたりします。
13.大剣林処(だいけんりんしょ)
人のいない荒野でお酒を売った人が落とされます。
鬼に剣でできた林に閉じ込められ、降ってくる炎の剣で体が切り裂かれます。
14.芭蕉烟林処(ばしょうえんりんしょ)
女性に酒を飲ませていたずらしようとした人が落とされます。
充満した煙で呼吸困難となり、熱された鉄板の床で焼かれます。
15.煙火林処(えんかりんしょ)
悪人に酒を飲ませて焚きつけ、恨みを持つ人に復習させた人が落とされます。
熱風に吹き上げられ、他の罪人と体が砕けるまでぶつけられます。
16.分別苦処(ふんべつくしょ)
使用人に酒を飲ませて焚きつけ、動物を殺させた人が落とされます。
鬼に色々な苦痛を与えられ説教をされ反省を促されます。その後も苦悩は続きます。
5.大叫喚地獄
ここは、殺生、盗み、邪淫、飲酒に加えて嘘をついた人が落とされる地獄です。
嘘とわかっているデマ情報を広めてもアウトです。
この地獄に落ちると、レベル4の叫喚地獄とほぼ同一の拷問を受けることになりますが、使われる器具がさらにバーションアップします。
釜や鉄の強度、熱される温度がさらに上がり、レベル4の叫喚地獄の10倍の苦痛を味わうことになるでしょう。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて6821兆1200億年です。
大叫喚地獄の周りにも、十六小地獄(なぜか18個)が付属されています。
1.唐き望処(とうきぼうしょ)
困っている人に対して口だけ救いの手を延べようと嘘をついて、実際は助けず何もしない人が落とされる地獄です。
ここには目の前にたくさんの料理が並べられ、美味しそうなにおいに誘われて近づくと鉄鉤に足をすくわれます。
その料理にたどりついてもそれは幻で、熱された糞尿に池に落ちてしまいます。
2.吼々処(くくしょ)
恩人に対して恩を仇で返した人、信頼できる友人に嘘をついて裏切った人が落とされます。
鬼が顎に穴を開け、舌を引き抜いた後毒を塗りその後虫がたかります。
3.受苦無有数量処(じゅくむうすうりょうしょ)
目上の人を騙して陥れた人が落とされます。
鬼にムチで打たれ、その傷口に植物を植えられます。植物が育つと一気に引き抜かれます。
4.受堅苦悩不可忍耐処(じゅけんくのうふかにんたいしょ)
偉人の部下でありながら嘘をついたり、その地位を利用して人を騙したりした人が落とされます。
体内を蛇が這い、内側から内臓や肉を食い荒らします。
5.随意圧処(ずいいあつしょ)
他者の土地を奪うために嘘をついた人が落とされます。
刀鍛冶をするかのごとく体を熱鉄で打ち付けられ引き伸ばされ、強火で熱されたあと熱湯に漬けられ固められます。
6.一切闇処(いっさいあんしょ)
女性にいたずらをした罪で閻魔様に裁判にかけられながらシラを切り、むしろ女性を悪者にしようとした人が落とされます。
鬼に頭部を切り裂かれて舌を引き出して熱刀で切り刻まれます。また舌が生えてくるとそれを繰り返されます。
7.人闇煙処(じんあんえんしょ)
財産があるにも関わらず無一文を装い、本来はその権利が無いのに他者と財産を分けて手に入れた人が落とされます。
鬼に体を細かく切り刻まれ、生き返るとまだ皮膚がやわらかいうちにまた切り裂かれます。
8.如飛虫堕処(にょひちゅうだしょ)
他人から得た金品を高額で売りさばき、儲けが出なかったと嘘をついて自分だけ大儲けした人が落とされます。
鬼に斧で切り裂かれ、秤で肉を計って、飢えた犬達にばら撒かれて食われます。
9.死活等処(しかつとうしょ)
僧侶でないのに僧の格好をして人々を騙し、強盗を働いた人が落とされます。
罪人の前には蓮華が見え救いを求めて近くへ寄ると炎に変わり飲み込まれた上、目や手足を奪われて焼き殺されます。
10.異々転処(いいてんしょ)
有能な占い師でありながら占いで嘘をつき、土地や偉人を失う原因を作った人が落とされます。
目の前に家族や友人の幻が現れ救いを求めて駆け寄ると灼熱の川に落ちて煮られ、鉄鉤で切り裂かれ、ノコギリで切り刻まれます。
11.双逼悩処(そうひつのうしょ)
会議や会合などで嘘をついた人、他人の悪口を言って集団の和を乱した人が落とされます。
炎の牙を持ったライオンに食われ、口の中で何度も噛んで苦しめられます。
12.迭相圧処(てっそうあつしょ)
親族争いの中、自分の近親者が得するように嘘をついた人が落とされます。
嘘をつかれた人たちが現れて罪人の肉をはさみで切り取って食べられ、切り取られた肉片にも感覚があり苦しみます。
13.金剛嘴烏処(こんごうしうしょ)
病気で苦しむ人を助ける言いながら薬を与えなかった人が落とされます。
金のくちばしを持つカラスに肉をつつかれます。復活しては食われるを繰り返されます。
14.火鬘処(かまんしょ)
慶事において法を犯しながらシラを切った人が落とされます。
鬼が鉄板と鉄板の間に罪人を挟んですり潰し、血と肉にこされます。
15.受鋒苦処(じゅほうくしょ)
お布施すると言いながらお布施をしなかった人、お布施の内容にケチをつけた人が落とされます。
鬼に熱した鉄のやりで舌と口を串刺しにされ、泣き叫ぶこともできなくなります。
16.受無辺苦処(じゅむへんくしょ)
船長でありながら海賊と共謀し、船上の商人が持つ財産を奪った人が落とされます。
舌や目を引き抜かれては再生し、抜かれるを繰り返されます。さらに刀で肉を削られたりもします。
17.血髄食処(けつずいじきしょ)
王や地主の地位にあり税を取り立て、足りないと嘘をついて多くの税を巻き上げた人が落とされます。
黒縄で木に逆さづりにされ金のくちばしを持ったカラスに足を食われ、罪人は流れ出る自分の血を飲まされます。
18.十一炎処(じゅういちえんしょ)
王、地主、長者のように人から信頼される地位にありながら、情にほだされ偏った判断をした人が落とされます。
四方八方から噴出す炎に焼かれ、さらに罪人の体からも11番目の炎が発して自らの口から吹き出す炎で舌を焼かれます。
6.焦熱地獄
ここは、殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄言に加えて仏教の教えに反した人が落とされる地獄です。
嘘の教えを周囲に広めてもアウトですし、閻魔様に逆らっても仏教の教えに反したとみなされます。
この地獄に落ちると、フライパンで焼かれるように鉄板の上で鉄串に刺され、目、耳、鼻、口、手足、胴とバラバラに分解されて焼かれ続けます。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸で数えて5京4568兆9600億年です。
焦熱地獄の周りにも、十六小地獄が付属されています。
1.鉄钁処(てっかくしょ)
「やむを得ない理由があればときに殺人は正義だ。」と主張した人が落とされる地獄です。
平等受苦無力無救、火常熱沸、鋸葉水生、極利刀鬘、極熱沸水、多饒悪蛇という、いかにも苦しそうな名のつく釜でひたすら煮詰められます。
2.大焼処(だいしょうしょ)
「殺生をすれば天国に行ける」という邪見を広めた人が落とされます。
たくさんの火炎のほか、後悔の炎体内に発生して内側から罪人を焼き焦がします。
3.分荼梨迦処(ぶんだりかしょ)
「飢えて死ねば天国に行ける」と説いた人が落とされます。
体中から炎が吹き出して苦しんでいると、「ここに分荼梨迦の池があって水が飲める」という声が聞こえ池に飛び込むとさらに炎は燃え上がって余計苦しくなります。
4.龍旋処(りゅうせんじょ)
「欲や怒り、愚かさを断てば涅槃に入れるという教えは嘘だ」と説いた人、礼儀作法の意味を理解できなかった人が落とされます。
たくさんいる毒龍が罪人の周りで激しく回転し、罪人の体は毒と回転の摩擦でぼろぼろに砕かれます。
5.赤銅弥泥魚旋処(しゃくどうみでいぎょせんしょ)
「この世のすべては天が作ったもので、輪廻転生はない」と説いた人が落とされます。
灼熱の銅汁の湖にいる鉄の魚に上半身を噛まれ、下半身は熱銅の海で焼かれ、海虫に食いつかれます。
6.血河漂処(けつがひょうしょ)
何度も戒律に背きながら「苦行さえすれば全ての罪は許される」と考え自ら身体を傷つけた人が落とされます。
罪人は血の河に漂い河の中に群れる丸虫に取り付かれて焼き焦がされます。
7.饒骨髄虫処(にょうこつずいちゅうしょ)
天国ではなく、人間界に転生することを望んで戒律を破り、牛の糞に火をつけて焼身した人が落とされます。
鉄の杵で砕かれて蜜のように液状にされ、虫となって地獄に落ちた罪人たちと混ぜられて肉の山となった上火をつけて燃やされます。
8.一切人熟処(いっさいにんじゅくしょ)
邪教を信じて、天国に転生するために山などに放火した人が落とされます。
罪人の目の前で家族や大切な人々が焼かれるのを見せ、精神的苦痛を与えられます。
9.無終没入処(むしゅうぼつにゅうしょ)
「動物や人間を焼き殺すことは火を喜ばせるという理由で幸せになれる」と考え、実行した人が落とされます。
燃え盛る巨大な山に登らされたのち、手、足、頭、腰、眼、脳と体を分解されてそれぞれ燃やされます。
10.大鉢特摩処(だいはちとくましょ)
僧たちが食事をする大斎の間に人を殺せば望みが叶うと考え、実行した人が落とされます。
花びらの中にたくさんの長い棘がある紅蓮華の花に落とされて串刺しになり、傷口から炎が吹き出します。
11.悪険岸処(あくけんがんしょ)
「水死すれば那羅延天に転生し、永遠にその世界にいられる」と説いた人が落とされます。
鬼たちのいう「あの山を越えれば苦しみはなくなる」言葉通りにすると、山向こうの崖から落ちて石の刀に刺さって燃やされます。
12.金剛骨処(こんごうこつしょ)
「この世のすべては因縁関係なく、仏法を信じるのはばからしい」と説いた人が落とされます。
鬼に刀で肉を削られ骨だけにされ、罪人に騙された人々が現れその骨を手に取って打ち合います。
13.黒鉄縄びょう刀解受苦処(こくてつじょうびょうとうかいじゅくしょ)
「人間の行いの善悪はすべて因縁によって決まり変えられないので、頑張っても無意味だ」と説いた人が落とされます。
鉄の綱で縛られた上、足から頭にかけて刀で細かく切り裂かれます。
14.那迦虫柱悪火受苦処(なかちゅうちゅうあくかじゅくしょ)
「この世界にはこの世もあの世も存在しない」と説いた人が落とされます。
鬼が罪人の頭から大きな釘を貫通させて地面に打ち立て、罪人の体からは虫が湧き出し、血と肉を食い尽くします。
15.闇火風処(あんかふうしょ)
「この世の法則は無常だけではなく一定不変なものもある」と説いた人が落とされます。
熱風に吹き上げられた罪人の体が渦の中で回転し続け、強風が吹くと体は砕かれ砂になりますが、その後再生すると同じことがくり返されます。
16.金剛嘴蜂処(こんごうしほうしょ)
「この世界は因縁によって生じ、全ては因縁により決定される」と説いた人が落とされます。
鬼がはさみで罪人の肉を少しずつ引きちぎり、さらに切った肉を自分自身で食べさせられます。
7.大焦熱地獄
ここは、殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄言、邪見に加えて尼僧や幼子に強姦を働いた人が落とされる地獄です。
さすがにこのレベルに落とされる人は相当な極悪人ですから、ここで拷問を受ける罪人の悲鳴はレベル1の地獄まで聞こえるほどだそうです。
ここに拘留される期間は、人間界の時間軸では数えられず、宇宙が誕生して消えゆくまでの時間の約半分の時間を要するとされています。
想像できないくらい途方もない時間は、もう転生できないと考えてよいのかもしれません。
大焦熱地獄の周りにも、十六小地獄が付属されています。
1. 一切方焦熱処(いっさいほうしょうねつしょ)
仏教の女性信者を犯した罪人が落とされます。
全ての空間に隙間無く炎が満ちて常に焼かれ、鬼に巻物のように足から巻かれて全身の血が頭に集まったところを釘を打ちつけられます。
2. 大身悪吼可畏之処(だいしんあくくかいしょ)
出家をしたがまだ尼僧ではない女性を犯した罪人が落とされます。
鬼が巨大なはさみで全身の毛を肉とともに一本ずつ引き抜いて抜いて苦しめられます。
3. 火髻処(かけいしょ)
仏法を身に付け正しい行いをする女性を犯した罪人が落とされます。
鋭い牙を持つ細長いたくさんの虫が肛門から侵入し、内臓から脳までを食い尽くして頭を破って出てきます。
4. 雨縷鬘抖?処(うるまんとそうしょ)
国の危機的状況の混乱に便乗して、戒律を守る尼僧を犯した罪人が落とされます。
回転ノコギリがところ狭しと配備され、動くと切り裂かれます。生き返るとまた同じことの繰り返しです。
5. 吒々々齊処(たたたざいしょ)
受戒した正しい行いをする女性を犯した罪人が落とされます。
竜巻に飲み込まれてバラバラになって肉があちこちに撒き散り、金の鼠に喰い散らかされて肉片が生きている状態になります。
6. 雨沙火処(うしゃかしょ)
仏の道に入ったばかりの尼僧を犯した罪人が落とされます。
大火炎の中に巨大な砂の蟻地獄があり、熱砂に飲み込まれます。砂の中には鋭利な刀も混じっています。
7. 内熱沸処(ないねつふっしょ)
五戒を受けた女性に非道な行いをした人が落とされます。
炎に包まれた池のある火山に行くと、爆風に吹き上げられて火山内部で焼き尽くされます。
8. 普受一切資生苦悩処(ふじゅいっさいしせいくのうしょ)
僧侶であるにも関わらず受戒した女性をたぶらかし、金品を与えて関係を持った人が落とされます。
炎をまとった刀が皮膚をはぎ、むき出しになった肉をさらに炎で焼かれ解けた鉄を口から流し込まれます。
9. 鞞多羅尼処(びたらにしょ)
嫌がる女性を無理矢理に犯した罪人が落とされます。
暗闇の中熱鉄の杖が降りそそぎ、罪人に隙間無く突き刺さります。
10. 無間闇処(むけんあんしょ)
善人に対して美人局(つつもたせ)をしかけて堕落させた人が落とされます。
鋼すらも突き破るほど鋭い嘴を持つ虫が、罪人の骨の髄まで食い荒らします。
11. 苦髻処(くかいしょ)
自分に従わなければ王に言って罰を受けさせると脅して女性と関係を持った人や、僧を誘惑して堕落させた女性が落とされます。
鬼に鉄のヤスリでこすられて肉を削り落とされます。
12. 髪愧烏処(ほっきうしょ)
泥酔して姉妹を犯した罪人が落とされます。
灼熱の炉で火力を強めて燃やされ、太鼓の中に閉じ込められて鬼に激しく打ち鳴らされます。
13. 悲苦吼処(ひくくしょ)
特別な儀式が開催されている最中に、姉妹と関係を持った人が落とされます。
平和そうな林に逃げこむと、実はそこに巨大な千の頭の竜がたくさんおり飲み込まれて口の中で噛み砕かれます。
14. 大悲処(だいひしょ)
仏教を学ぶ善人の妻や娘をだまして犯した罪人が落とされます。
鋭い刃が敷き詰められたヤスリのような床にこすり付けられ、形がなくなるまで擦り減らされます。
15. 無非闇処(むひあんしょ)
自分の息子の嫁を犯した罪人が落とされます。
沸騰する鉄釜ので他の罪人と一緒に煮られた後、杵で練られて一塊の団子にされます。
16.木転処(もくてんしょ)
命の恩人の妻を犯した罪人が落とされます。
沸騰した湖の中で逆さに煮られた上、巨大な魚に食われます。
8.無間地獄(阿鼻地獄)
ここは、殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄言、邪見、強姦に加えて両親や聖職者を殺した人が落とされる地獄です。
すべての地獄の中でもっとも最下層に位置しているため、到達するだけでも2000年かかり、その間、落下し続けなければなりません。
何世紀もの時を越えてやっと到達したと思ったら、5億匹もいる火を吐く虫に迎えられ、その後も舌を抜かれて鉄杭を打ち込まれたり、熱した刃物で体を切り刻まれ続けたり、熱湯を浴びせ続けられたりします。
ここであじわう苦痛はこれまでの全レベルの地獄を足して、さらに1000倍した痛みや熱さであると言われています。
また、無期懲役のため、ここに一度落とされたら二度と人間界へ転生することはできません。
いっそ殺してくれと願っても、そもそもすでに死んでいるため、この苦痛からは逃れることができません。
無間地獄の周りにも、十六小地獄が付属されています。
1.臭気覆処(しゅうきふくしょ)
人が大切にしているものを破壊すると落とされる地獄です。
おびただしい数の針でできた炎の網に捕えられ、体の至るところを貫かれながら炎で焼かれます。
さらに鬼が放った矢で射られ、サトウキビで叩かれます。
2.烏口処(うこうしょ)
小乗仏教の最高指導者である阿羅漢を殺した罪人が落とされます。
口を裂かれ閉じないようにされた上で沸騰した泥の池に落とされます。溺れた罪人は泥の熱で内臓まで焼かれます。
3.一切向地処(いっさいこうちしょ)
高位の尼僧や阿羅漢を強姦した罪人が落とされます。
頭を上下に回転させられながら火に炙られ、灰汁の中で煮られます。
4.無彼岸常受苦悩処(むひがんじょうじゅくのうしょ)
自身の母親を犯した罪人が落とされます。
鉄の鉤でへそから魂を取り出されて魂に鋭い刃を刺され、へそに鉄の釘を打たれた上に口から高熱の鉄を注がれます。
5.野干吼処(やかんくしょ)
優れた叡智者、悟りを開いた人、阿羅漢などを罵った人が落とされます。
野干とはジャッカルや狐のことを言い、火を吐く狐が群がって手、足、舌など罪のある部位を順に食いちぎられます。
6.鉄野干食処(てつやかんじきしょ)
仏像その他僧侶に関連する品を焼き払った人が落とされます。
身体から炎が吹き出し空からは鉄の瓦が降り注ぎ、鋭い火の牙を持つ狐に食われます。
7.黒肚処(こくとしょ)
仏へのお供え物を食べたりお供えの品を盗んだりした人が落とされます。
飢えや渇きの苦しみから自分の肉を食い、黒蛇には足から食われていきます。食われた肉は再生するため、それが繰り返されます。
8.身洋処(しんようしょ)
仏に備えられた金品を盗んだ人が落とされます。
炎をまとった二本の大きな鉄の木の間の地獄に落とされ、風で鉄の木が揺れるごとに粉々にされ肉片を鳥に食われます。
9.夢見畏処(むけんいしょ)
僧侶達の食べ物を盗み飢えさせた人が落とされます。
鉄の箱中に閉じ込められ、杵でつかれて肉の塊に練られます。
10.身洋受苦処(しんようじゅくしょ)
出家者や病人に対して寄付された物を、僧侶を装い奪った人が落とされます。
燃え盛る鉄の木の下の地獄で、世界に存在する全ての病に罹患して苦しみます。
11.雨山聚処(うせんじゅしょ)
仏に供えられた食べ物を盗んで食べた人が落とされます。
大きな鉄の山に何度も押しつぶされ、鬼に身体を切り裂かれてそこへ高熱の液体を注がれます。病にも苦しみます。
12.閻婆は度処(えんばはどしょ)
田んぼや畑の水や水源である川を破壊し、人々を渇死させた人が落とされます。
火を吐く閻婆という象のような巨大鳥が罪人をくわえて空から落とし、地面に生える無数の刃に刺さって火の歯を持つ犬に噛まれます。
13.星鬘処(せいまんじょ)
修行のために断食している僧侶から食べ物を奪った人が落とされます。
燃えたぎる釜の中で回転させられながら煮られ、剣が混ざった竜巻にずたずたにされた後、高温で溶けた銅で煮られます。
14.苦悩急処(くのうきゅうしょ)
仏教書や絵画を壊したり落書きしたりした人が落とされます。
両目に溶けた銅を流し込まれ、その両目を熱砂で削られ身体も同様に削られます。
15. 鉄ちょう処(てっちょうしょ)
貧困にあえぐ貧しい時代に僧侶の面倒を見ると言いながら、何もせず飢えさせた人が落とされます。
火炎に取り囲まれ、餓鬼のように飢え渇きの苦しみを与えられます。
16.十一焔処(じゅういちえんしょ)
仏像、仏閣、仏塔、寺舎などを壊したり放火したりした人が落とされます。
鉄棒を持った鬼たちに追い立てられ、蛇に噛まれたり火に炙られながら逃げ続けなければなりません。
さて、これまで8つの地獄の階層(八大地獄)についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
想像を絶する時間の長さや痛みで、もはや地獄のレベルの違いすらよくわからなくなった人がいるかもしれませんね。
ご紹介した八大地獄のほか、小地獄なども合わせると、全部で136種類の地獄があると言われています。
なんとその中には女性専用の地獄もあるそうです。
女性専用の地獄
実は、色々な種類がある地獄界には、女性のみが落とされる地獄というものも存在するようです。
地獄界では男女平等ではなく、男尊女卑のきらいが感じられますので見てみましょう。
1.血盆地獄
出産を経験した女性、月経を経験した女性はこの地獄に落とされ、1日3回血みどろ池の血を飲まされます。
2.石女地獄
出産できなかった女性、あえて出産しなかった女性はこの地獄に落とされ、永遠に竹の根っこを掘らされるという内職みたいなことをさせられます。
ここで気づくのは、全ての女性がどちらかの地獄に落とされるということ。
仏教では、今でも敬虔(けいけん)な寺院では女人禁制だったり、月経中の女性は足を踏み入れることを許されていなかったり、女性のことを穢れ(けがれ)、不浄なもの、とみなすことがあります。
それはなぜでしょうか?
出血は死を連想させるからとか、女性は男性の心を乱すからとか、そういった説があります。
そのため、昔は出産も穢れとされ、家の外で分娩を行ったり、月経中の女性はまとめて家の外の別棟で寝かされていたりした時代もあったそうです。今でもそのような習慣がある国もあるとか。
跡継ぎを望む一方で、命を生み出す出産を穢れとして扱う、女性にとっては理不尽そのものです。
その上、出産できなかった女性まで地獄に落とされるなんて・・・なんだか酷すぎます。
このような理不尽な地獄の世界に、救済措置はないのでしょうか?
地獄における救済措置
地獄界に怒りを覚えた女性のみなさん、理不尽さは消えないものの、救済措置としていくつかの種類があるようです。
たとえば、血盆地獄行きが決定した女性は、血盆地獄について書かれた「血盆経(けつぼんきょう)」を遺族に写経してもらうことで、如意輪観音(にょいりんかんのん)の救済を得ることができます。
その他でいえば、地獄を取り仕切る閻魔大王様にも、実はさらに上司がいて、それが阿弥陀如来や地蔵菩薩、不動明王になるのですが、彼らに助けを請うことで、救済されることもあるそうです。
うっかり地獄へ落ちてしまった善人を現世に戻せと不動明王がひとこと言えば、閻魔大王はひれ伏してその命令をきくのだとか。
また、親より先に死んでしまった三途の川にいる子供たちの魂も、地蔵菩薩は救済していると言われています。
とはいえ、仏様たちも誰彼かまわず助けてくれるわけではないでしょう。
そのためには、やっぱり生前から善い行いをして徳を積んでおく必要がありそうですね。
徳の積み方は、こちらを参考にしてください。>> 【陰徳を積む方法】成功者はすでに活用している陰徳の法則 https://serendipity-japan.com/secret-charity-13057.html
まとめ
地獄の種類(八大地獄)は、いかがでしたか?
最下層の地獄へ落ちるまでに2000年以上もかかるというのは、知らない人も多かったのではないでしょうか。
転生するまでにかかる時間も最低で1兆年以上と言われていますので、地球の歴史よりも長い、途方もない時間を過ごさねばなりません。
救済措置を受けるにしても、生前にどれだけ善い行いができたかにかかってきます。
日頃から家族や周囲の人に信頼される人徳を積んでいきたいものですね。