心が落ち着き、集中力が上がる効果があるという座禅。
実践してみたいけれど、本当のところ、いったいどんな効果があるのでしょうか?
今回は、座禅の効果をまとめてみました。
はたして、あなたが座禅に期待する効果は、あるのでしょうか?
心が落ち着く
まず、座禅を始めると心が落ち着いていくのが、すぐにわかると思います。
座禅とは、姿勢を整える『調身』、呼吸を整える『調息』、心が整う『調心』を基本としたトレーニング法です。
普段、あまり姿勢に気をつける習慣のない人は、背筋を伸ばして座るだけで、気持ちがシャキッとするものです。
さらに、腹筋を使ってゆっくり呼吸することで、呼吸にリズムが生まれ、それによって、ざわついていた心が落ち着いていくのを感じることができます。
これは、正しい姿勢で正しい呼吸を繰り返すことによる「リズムのある運動」と同じ効果です。
実際に、ウォーキングやランニングを経験したことのある方ならわかりやすいかもしれません。
静かな環境の中、ひたすら姿勢や呼吸に意識を集中させていくと、不思議と静かな気持ちになります。
これは、座禅によって、リラックスしたときに出る脳波(アルファ波)が出るためです。
座禅では、大きく体を動かす必要がない分、体力に自信がない方にもおすすめできます。
また、心が落ち着けば、体もゆるんでリラックスでき、疲れもとれやすくなる効果があります。
安らぎが得られる
心が落ち着くと、ゆったりとした気分になるのは、当然といえば当然のことかもしれません。
心配事や不安な事があったとしても、落ち着いて考えてみれば、思っていたほどひどい状況ではないと気づくこともあるでしょう。
大抵のことは、その時自分が思っているほど「大変なこと」ではないものです。
言葉にしてみると、当たり前のように感じますが、心を落ち着かせることから、安らぎを得られる、といってもいいかもしれませんね。
集中力が増す
座禅のあいだは、呼吸に意識を集中します。
具体的には、鼻から大きく息を吸い、口からゆっくりと長く吐き出していきます。
もし、雑念が浮かんできても、それを自覚し、また呼吸に集中しなおしましょう。これを繰り返すうちに、自然と集中力が増してきます。
この「呼吸に集中する」ことが、一瞬一瞬に意識を向けることになり、それによって、集中力を高めることができるようになるのです。
座禅の時間を長くしていくことで、少しずつ集中も長く保てるようになっていきます。
ストレスが解消できる
ここまでくれば、もうストレスが解消されるメカニズムも理解していただけると思います。
正しくリズミカルな運動に近い呼吸と正しい姿勢とで、ゆったりと落ち着いた気分になり、頭の中をすっきりと整理でき、さらにまっさらな気持ちで集中力を高められれば、ストレスなんて怖くはありません。
慌ただしい日常生活の中で、何もしないでただ座るだけの時間というのは、座禅や瞑想でもしない限り、なかなかあるものではありません。
座禅によって、五感から入ってくる情報を遮断し、自分に集中してみる。
このような特別な時間を、1日たった10分過ごすだけでも、リラックス効果とストレスの解消につながります。
また、お寺の座禅会に参加して座った場合は、座禅堂の静けさや、心地よい緊張感などが、非日常の気分を味わわせてくれます。
もし、ストレスが溜まっているなと感じているなら、一度、体験してみるのもいいかもしれませんね。
セロトニンを活性化できる
座禅の効果を科学的に解説しようとした場合、必ずといっていいほど現れるのが「セロトニン」というものです。
セロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与えている、神経伝達物質のひとつです。
心身の安定や心の安らぎなどにも関与することから、オキシトシンとともに『幸せホルモン』とも呼ばれています。
意識して行う腹式呼吸、ウォーキング、ジョギングなどのリズム運動をすると、セロトニンが活性化することが近年わかってきました。
座禅の腹式呼吸は、心の変化を自分で観察しながら、呼吸をコントロールすることを目指すものなので、特に心の状態にあった効果が得られると考えられています。
記憶力が良くなる
自分の意識をコントロールできるようになり、集中力が高まれば、おのずと記憶力も良くなって当然ですね。
短時間に集中力を高めるトレーニングをしているわけですから、記憶力が良くなるのも、当たり前といえば当たり前のことです。
勉強を始める前などに座禅を行えば、よりその効果を実感できるかもしれません。
よく眠れるようになる
実は、体を眠りに適した状態にするための物質メラトニンは、前述のセロトニンを材料として作られています。
そのため、座禅の腹式呼吸でセロトニンが増えれば、メラトニンの量も必然的に増えます。
結果として、座禅の効果で安眠できるようになる、という仕組みにつながっていくのです。
なんだか不思議な連鎖ですが、心が落ち着けばゆっくり眠れる、というのも、こうして繋がっているのですね。
ストレスに悩まされなくなる
呼吸に意識を向けることは、自分を客観的に見ることにつながります。
心が静まってくるにつれて、自分の感情や状態を観察することができるようになってきます。
そうすると、ああ自分は今、○○のことを考えているな、○○と感じているな、ということに気づきやすくなります。
これは、ストレスだけでなく、怒り、不安、悲しみなど、ほかの不快な感情にも敏感になり、冷静さや平常心を保つきっかけになってくれます。
これが習慣になると、ストレスを感じにくくなり、精神的にも強くなります。
当然のことですが、実際は、この「ストレスに悩まされなくなる」というのが、最も大きな座禅の効果といえるのかもしれません。
セロトニン神経の活性化
実は、上記の効果は、座禅の呼吸のリズムによって、脳内のセロトニン神経が活性化されたことによるものです。
このセロトニン神経の活性化こそ、座禅の最大の効果です。
ストレスの多い現代社会では、このセロトニン神経がうまく働かなくなり、怒りっぽくなったり、疲れやすくなったり、依存症やうつなどを引き起こす原因になっています。
座禅は、このような症状の予防や改善に効果的なのです。
では、セロトニン神経には、どのような働きがあるのでしょうか?
自律神経のバランスを整える
セロトニン神経には、自律神経のバランスを整える役割があります。
自律神経には、起きているときに優位に活動する『交感神経』と、寝ているときに優位に活動する『副交感神経』があります。
快と不快のバランスをコントロールすること、つまり、これらの神経を、適度に興奮させたり、緊張させたりすることが、セロトニン神経の役割です。
また、神経伝達物質(ホルモン)としてのセロトニンは、いわゆる『幸せホルモン』として知られ、精神を安定させる働きがあります。
座禅によって得られる、心も体も安定する効果は、このように科学的にも証明されています。
爽快感
さて、座禅のゆっくりとした呼吸法によって、セロトニン神経が活性化し、脳波にアルファ波が現れてくると、座禅の後は、意外に疲れを感じず、代わりに心地よい爽快感が感じられるものです。
気分がリフレッシュすることで、心も明るく、軽くなったような気がしますよね。
これも、日常生活ではなかなか得られない感覚ではないでしょうか?
この爽快感こそが、セロトニン神経が活性化している証拠です。
この感覚の有無で、正しい呼吸法ができていたか、効果的な座禅ができたか判断することができます。
まとめ
座禅には、実に様々な素晴らしい効果がありましたね?
その効果は、人によってまちまちではあるのですが、まとめると大体このような効果に収束していきます。
こうして効果だけを書き連ねていくと、なんだかうさんくさくなってしまうのですが、そのメカニズムを知ることで、その疑問も解決できます。
座禅は、非科学的な思い込みなどではなく、人体の科学的な反応を上手に利用した、自分でコントロールすることのできる、精神安定のためのトレーニングである、と言っても過言ではありません。
安全で無害ですので、ぜひ、あなたの生活にも取り入れてみてはいかがでしょうか?
初心者には難しいとされる結跏趺坐も、最初はただのアグラ座りから始めれば良いそうです。
座禅でストレスフリーな心地よい毎日を楽しみましょう!