朝令暮改とは、もともとの意味が、『朝決めた事を夕方には変えてしまう』から、安定していない。あてにならない。というネガティブなものなので、悪いものというイメージでビジネスパーソンにも受け入れられています。特に、朝決めた事を夕方徹底しなおさないといけない中間管理職には尚更のことでしょう。
でも、今や朝令暮改は個人の仕事との関わりの中でも重要視される時代へ変化してきています。そのメリットを紹介します。
朝令暮改はPDCAサイクルが短く機能している証拠
大きな方針を実際に実行に移すと、当然のことながらその予定と実績の間にギャップが生じてしまいます。
特に『トライ&エラー』が日常化しつつあるビジネスの業界においては、軌道修正が早く行えるという事は、ある意味よいことなのです。
現場が状況報告(特に改善報告や戦略修正)しても判断する人が音沙汰無しで、さらに状況が悪化した頃になって『もう遅いだろう・・・。』というような対策や方針を出してくるよりかは、はるかにましなのです。
コミュニケーションの頻度が増す
朝令暮改が起きると、現場からは軌道修正に対するメンタル面での不平や不満が生じてきやすくなります。上長のみならず、先輩社員も含め、その不満に対するケアや新しい方向性の徹底。
目標付けという作業が、日々細かく行われるので、小さなことでもすぐにコミュニケーションがはかれるようになりコミュニケーションの頻度が増します。
頻繁にコミュニケーションが行われている職場は、ミスや意思疎通不足からの失敗は、減るものです。朝令暮改が悪いのではありません。その様な状況下を冷静に読み、ケアやコミュニケーションを怠る上長や先輩社員が悪いということを認識しておきましょう。
何となく生きていない
今やビジネスのみならず、その就業スタイルにまでいろんな変化が及んでいる時代です。言い換えれば、”何となく昨日と同じ様に今日を過ごしている”わけには行かないのが世の中。
指示命令の世界だけでなく、日常にも朝令暮改マインドを意識しておきましょう。朝令暮改の波は、押し寄せてきているのですから。
柔軟に別の考えを取り込み、頭の固着化を防ぐには個人にも朝令暮改のマインドが重要なのです。
化学変化の証明
朝令暮改のマインドを、ビジネスに取り組んでいる人のところには、よい情報が集まりやすいとされています。これは、よい情報の集る最大の要因が”迅速さ””柔軟さ”にあるからです。
さらにその様な人は、自身への化学変化をおこすために、いろんな人と会い、情報を取捨選択しながら成長していくことを好みます。そしてその行動が優良な人脈を作っていくのです。
朝令暮改の境界線が明確に
朝令暮改にもメリットデメリットが存在します。特に組織運営では顕著です。
やっていい朝令暮改と、やってはいけない朝令暮改が存在します。でも、その事に気がつくのは、そこにフォーカスを当てたからこそ(朝令暮改を意識し実行している)なのです。
朝令暮改はダメという認識でいたまま思考を固着していると、朝令暮改のメリットを活用しないというデメリットだけが存在してしまうことになります。
朝令暮改を苦にせず行うことで何がよくて何が悪いのかの境界線がはっきりしてくるので、組織運営においてメリットの精度がより向上してチームが強化されます。
社員の会社へのアプローチが分かる
政策の朝令暮改は、十分に説明しないと経験や社業の浅い部下のモチベーションに影響してきます。でも、裏を返せば、そんな社員の会社へのアプローチ(係わり方)が見えてくるのです。
会社が好きで、会社について来る気(貢献できる)満々なのか、ぶら下がり感覚で、大勢に流される社員なのか、ビジネスキャリアを意識して向上しようとしているのか、そうでないかなど、会社を軸にした仕事への係わり方が見てえてくるのです。
最終的に誰が頼れる部下なのか、信頼に足る部下なのか分かるというのも上長にとっては嬉しいメリットの一つかもしれません。
仕事推進に、軌道修正力に幅
まずは、『トライ&エラー』がビジネスの基本という観点に立つ事が重要です。そうすれば、考え方が変わります。
『もし、朝令暮改になったら・・・。』という観点を受け入れどの様な準備をしなくてはいけないのかを常に念頭においていたら、いざという時のメンタル面の落込みや残念さも軽減できますし、なにより軌道修正が容易になり、よりPDCAサイクルを早くまわせ、迅速に対応できるようになります。その様な修正力は、経験しないと磨かれませんし、培われません。
よく、朝令暮改を臨機応変と言い換える人がいます。臨機応変とは、対応力を表している言葉ですが、成功しているビジネスパーソンは、日々準備している事で、対応力を向上させ、臨機応変の精度を上げているのです。その準備とは、変化を受け入れること。変化に流されることとは違います。
情報を取捨選択していつでも変化できる準備をしておくことこそ重要なのです。