ブレインダンプとは.、その名の通り、脳(brain)の中の情報を吐き出す(dump)することです。
自分の頭の中にあることを思いつく限り、紙に書き出した後、それを整理し、今後の行動計画を立てる際に用いる手法です。
ヒトはインプットした情報をすべて出して それを冷静に見つめることで、今やるべき行動を確かめやすくなります。
今回の記事においては、ブレインダンプの作業が目標達成のために好影響を与えるプロセスを解説します。
幸福否定の心理
医療法人社団松井病院等で心理療法を行っていた笠原敏夫氏によれば、人間には幸福否定の心理があると言います。
つまり、あまり幸福な人生を送ることができず、自分は幸福になれないという自己イメージができあがっているひとは、その自己イメージを裏切ることに不安をおぼえるのです。
自分の置かれている現状を認識し、行動計画を立てた方が、願いの実現に近づくということは、誰でもよくわかっています。
しかし、幸福否定の心理が働いている場合、なかなか現状認識と行動計画の作成ができません。必要だとわかっていても、ついつい先延ばしにしてしまいます。
ブレインダンプを行うことは、幸福否定の心理による心のブレーキを外して、自分が置かれている現状を認識し、それに対応するための行動計画を作成する、良いきっかけになります。
締め切り効果
ローマ大学のある物理学者が、統計物理学の国際会議を主催した際、人々がどのようなタイミングで国際会議への参加登録をするのかを観察し、解析した結果
『締め切りまであとT日ある日に登録をする人の数は、T分の1に比例する』
という簡単な法則性がきれいに成り立っていることを発見されました。
締め切りを設けることで、ひとは集中力を増すという締め切り効果は存在します。
ブレインダンプにおいては、自分の中にインプットをされている情報を紙に書き出す作業に、あらかじめ時間制限を設けます。
締め切り効果によって、効率的に自分の中にインプットされている情報を吐き出すことが期待できます。
異常心理
危機の時、人間は直感で判断する傾向があります。
その直感は、その人の過去の経験などが脳の中でコントロールされて出てくると考えられています。従って、経験したり考えたりすることは、直感を養う上で非常に重要なことと言われています。
そして、締め切り時間が迫っているという異常心理の中で、普段に思いもつかなかったようなアイデアが頭に浮かぶこともあるのです。
ブレインダンプのプロセスの中で、インプットされた情報を紙に書き出す作業に時間制限を設けていることは、あなたの過去に蓄積した経験や思考の中から、予想外に役に立つカードを引っ張り出してくれる可能性があります。
コントロールの錯覚
コントロールの錯覚とは、実際には結果をコントロールできない事象に対して,コントロールできるかのような錯覚を抱くことを言います。
ランガーは、この問題に関して、完全に偶然に左右される事象であっても、自らの選択など、スキルで結果を左右できる事象に伴う手がかりを付随させることによって、この錯覚を生じさせることを示しました。
ブレインダンプにおいては、今後の行動計画を作成するにあたって、書き出された複数の情報の中から選択するという作業が含まれています。
もちろん、選択するという作業が行われたからといって、計画自身が成功するものとは限らないのですが、選択する作業の全能感はコントロールの錯覚を生じさせます。
その結果として、『この計画はうまくいく』という予感や信念をひとに与えるのです。
計画がうまくいくという予感や信念のあるひとは、計画を途中で投げ出すことが少ないので、成功するチャンスをつかめる機会が多くなります。
脳と手
脳の中で、手や手の指の動きをつかさどる領域は極めて広範囲です。そのため、手や手の指を積極的に使えば使うほど、脳の血流が増え、神経細胞も発達し、脳の働きが活発になることがわかっています。
ブレインダンプにおける紙に書くという作業は、あなたの脳を活性化させます。そして、あなたは書きながら、書いていることについて考えているのです。
今後の行動計画に必要な内容をあなたの記憶に強く定着させることができれば、成功の確率は高まるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事においては、近頃に話題になっているブレインダンプの効果の秘密を、心理学・大脳生理学の観点から解析しました。
ブレインダンプを行うことが各自の目標の実現につながるプラス効果をもつことはご理解いただけたでしょう。
あなたも自分の願いをかなえるために、ブレインダンプの手法を取り入れてください。