アロマセラピストは、アロマテラピーのマッサージをする時、クライアントにカウンセリングをしながら、心と体の状態に合った精油を適切に選び、ブレンドします。
その香り高いオイルは、疲れた心を癒し、優しいアロママッサージは、心も体もゆったりほぐします。
そんなアロマセラピストになるためには、どんな事を学び、どんな資質が必要だと思いますか?
今回は、アロマセラピストになるための具体的な方法、そして、実際にアロマセラピストとして活躍するために求められるものをお伝えします。
アロマセラピストになるには?
まずは、アロマの基礎知識を認定校で学び、資格を取得していきます。
アロマの協会は、たくさんあります。それぞれの協会によって違いがありますが、今回は、国内最大級の協会を例にして、お伝えします。
アロマテラピー検定1級を取得する
アロマテラピーアドバイザーの資格を取得するためには、
- アロマテラピー検定1級(アロマテラピーの基礎知識)に合格する。
- 協会に入会し、アロマテラピーアドバイザー認定講習会を受講する。
事が必要です。
そのため、一番最初に受験するのが、アロマテラピー検定1級となります。
アロマテラピー検定1級は、公式テキストが発売されているので、独学でも学べ、受験も可能です。
アロマセラピストを目指すのであれば、基礎をしっかり固める必要があります。
独学よりも、認定校で実際にアロマの手作り実習を行い、精油の基礎知識、香りの覚え方など、より質の高い知識を習得するのがお勧めです。
アロマテラピーアドバイザーの資格を取得する
アロマテラピー検定1級に合格後に、アロマの協会に入会し、認定校またはアロマ協会主催のアロマテラピーアドバイザーを受講します。
受講後、履修証明書が発行されるので、それを協会に送り手続きをし、後日、アロマテラピーアドバイザーとして認定されます。
この資格を取得する事で、アロマセラピスト認定校への入学が可能となります。
アロマセラピスト認定校へ入学する
アロマセラピスト認定校では、学科を86時間以上学びますが、市販のテキストが販売されていないので、テキストはそれぞれの認定校オリジナルのものを使用します。なので、認定校選びが重要なポイントとなります。
どの認定校も標準カリキュラム(アロマ協会で指定されている学科内容)を採用していますが、認定校のカラー、つまり、オリジナル性も大切とされています。
認定校を選ぶ時には、自分がどんな風に学びたいのか、自分に合った雰囲気であるのかも、考えて選びます。
- グループでの受講なのか
- マンツーマンなのか
- 曜日は決まっているのか、フリータイムなのか
- 試験合格を中心として学ぶのか
- 楽しく学びながら実践ですぐに活用できる事を学ぶのか
- 精油の香りや効能の知識を深く学ぶのか
- 受講終了後のフォローはあるのか
自分に合った認定校に通う事で、より興味を持って学ぶ事ができます。
入学前に、受講中の様子を見学するのがお勧めです。
アロマセラピストの学科を学ぶ
アロマセラピストの標準カリキュラムで学ぶ内容は、
- 解剖生理学
- 顔面の皮膚学
- 衛生学
- 健康学
- 精油学総論
- 精油学各論
- 基材論
- アロマテラピーの利用法
- メンタルヘルス
- ホスピタリティとコミュニケーション
- ボディトリートメント理論
- フェイストリートメント理論
- コンサルテーション理論
- コンサルテーション実技
- ケーススタディ
- カルテ作成指導
となります。
アロマセラピスト学科で学ぶポイントは、一般的な解剖生理や衛生学、健康学に加えて、精油の扱い方をしっかり学ぶところです。
アロマテラピーの利用法では、認定校で実際にハンドバスやフットバス、温湿布などを体験します。
さらに、ボディトリートメントやフェイストリートメントの手技による身体(皮膚、筋肉、骨など)に与える効果の他に、心に与える効果、精神に与える効果を学びます。
ケーススタディでは、症例をあげ、それぞれの症例に合った、精油、植物油を選定し、どの様なアロママッサージが適切なのかを学びます。
アロママッサージにとって、最も大事なのは、クライアントに合った精油と植物油を選び、それをブレンドし、クライアントの心と体に効果のあるマッサージをする事です。
さらに、クライアントが何を求めているのかを、言葉だけでなく、話し方やしぐさから読み取る事、つまり、気の流れを感じ取る事がアロマセラピストには求められます。
それを学ぶのが、コンサルテーション理論です。
コンサルテーション理論では、クライアントの悩みや体調などをうかがいながら、クライアントの訴えを良く聞き、気持ちを受け取る事の必要性(傾聴と受容の大切さ)を学びます。
コンサルテーションとは、アロママッサージ前に、クライアントの心身とクライアントを取り巻く環境状態の情報を得て、話を聞きながら、「その日のクライアントが求めている」香りや植物油の肌への感触そして、アロママッサージの圧や時間などを相談します。
コンサルテーションで、アロマセラピストとの信頼関係を構築する事が、アロママッサージをさらに質の高いものにします。
実際に、コンサルテーション実技では、約15~20分の間に、クライアントの話を聞き、クライアントの気持ちを受け取りながら、状態や状況を把握し、クライアントに合った精油を選び、植物油を選び、それを目の前でブレンドし、安全にアロママッサージが行える様に同意を得て、説明を行います。
かなり多くの能力を必要とされるのが、アロマセラピストです。
だからこそ、アロマセラピストは、誰もが憧れる資格なのです。
アロマセラピスト学科を修了したら、学科試験を受ける権利が得られます。
学科試験を受け、合格した後、合格より2年2か月以内に、アロマセラピスト実技試験とカルテ審査を修了が必須となります。
アロマセラピスト実技(準備~タオルワーク)
学科と同時に行う認定校と、学科を終了してから実技を行う認定校の2種類があります。
アロマセラピストの実技は、ボディが50時間以上、フェイスが10時間以上学びます。
アロマセラピスト実技で学ぶのは、マッサージの技術だけなく、マッサージルームのセッティング、クライアントへの説明、着替えの誘導、マッサージベッドへの誘導、タオルワークなどです。
マッサージルームのセッティングは、とても大切です。
クライアントを待たせる事なく、必要なものがいつも手元にある様にセッティングし、さらにクライアントが安全に移動しやすい様にしておきます。
さらに、タオルワークは、アロママッサージを心地よく受けて頂くために、高い技術が求められます。
アロママッサージの特徴は、クライアントの肌に直接触れる施術であると言うところです。
クライアントの肌の露出を最小限にし、温度調節を行うためには、タオルワークは、「素早く」「丁寧に」行う必要があります。
クライアントの安心感が、深いリラックスにつながります。
アロマセラピスト実技(ボディ&フェイシャル)
まずは、立ち位置から学びます。
クライアントの体の大きさにより、立ち位置を決め、歩く動作を最小限にする事で、クライアントが心地よくアロママッサージを受けられます。
ボディのアロママッサージは次の順に覚えます。
- トリートメントオイルを塗る
- 背中~腰のマッサージ
- 両脚裏側のマッサージ
- 両脚表側のマッサージ
- 両腕のマッサージ
- お腹のマッサージ
- 胸(デコルテ)のマッサージ
全てのアロママッサージの手技を覚えたら、次は、クライアントに声をかけながらマッサージを行います。
マッサージの圧の強弱、部屋の温度、肌への刺激などをクライアントに聞きながら、クライアントの質問に答えていきます。
ここまでできたら、次は時計を見ないで約60分間のアロママッサージを行う訓練をします。
アロママッサージのリズムを自分の身体で覚えるのです。
不思議とボディマッサージの実技が修了する頃には、手が自然と動く様になってきます。
ボディを覚えたら、次はアロマフェイシャルです。
フェイシャルでは、アロマオイルを使ったクレンジング~マッサージ、アロマで手作りした化粧水やクリームで整肌(肌を整える事)を行います。
クレンジングは、目元、口元、フェイス全体にオイルを使用して行います。
クレンジングの後、ホットタオルで拭き取り、フェイシャルマッサージを行います。
フェイシャルマッサージは、
- オイルを塗る
- 頬のマッサージ
- おでこのマッサージ
- 鼻の周囲のマッサージ
- 顎と口元のマッサージ
を行います。
フェイシャルマッサージの後、ホットタオルでオイルを拭き取り、整肌を行います。
ここまで覚えたら、フェイシャルマッサージを10~12分で行える様に訓練します。
アロマセラピスト実技試験
アロマセラピスト学科試験は、アロマ協会主催で行うのですが、実技試験は認定校で行います。
ただ、教えてもらった認定校の講師から試験を受ける事ができないので、通った認定校に他に講師がいれば、その講師の試験をボディとフェイス別々に受けます。
認定校の講師が一人の場合は、他の認定校の講師が行うか、他の認定校に行って実技試験を受ける事になります。
その場合は、認定校の講師が、アロマ協会に実技試験を行ってくれる講師を探してくれる様に依頼します。
アロママッサージのボディとフェイシャルの試験に合格したら、次のステップです。
カルテ審査
カルテ審査とは、30症例のアロママッサージを行い、それを記録として書き、評価していくものです。
このカルテ審査は、通っている認定校で行います。
カルテを取るのに、6人以上のクライアントとカルテを取る場所を自分で確保します。
カルテを取る時には、自分一人で取るのが原則なので、クライアントとの連絡も自分で行います。
カルテを取りながら、自分のコンサルテーション技術、ボディトリートメント技術、フェイストリートメント技術を固めていき、クライアントからは、アドバイスをして頂きます。
アロマセラピストになるための準備でもあり、アロマセラピストとして活躍するための大きな学びの場になります。
カルテを取り終えたら、通っていた認定校の講師に提出をし、カルテの手直しを繰り返し、30症例全ての合格を得たら、アロマセラピスト取得となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アロマセラピストになるまでは、長い道のりに感じたかもしれません。
学ぶ事も多く、求められる事も多いため、たくさんの知識が必要となります。
そして、何よりもアロマセラピストに必要なのが、自分の気の流れをいつも整えておく事です。
直接肌に触れるアロママッサージは、お互いの気の流れが相手に伝わります。
アロマセラピスト自身の気の流れをいつも良い状態にする事で、クライアントから受け取ったマイナスの気の流れを自然に浄化する事ができます。
その気は、さらに疲れた心と身体を優しく包み込み、クライアントの身体だけでなく、心やオーラをも整えていきます。
精油の効能を巧みに使い、植物のパワーで心と身体、そして、オーラをケアするアロマセラピストは、まるで香りの魔法使いみたいですね。