昔からカレンダーの日付の脇に小さく「大安」「仏滅」などと書かれてある事の多かった六曜(六輝)。
最近では六曜の書かれていないカレンダーでスケジュール管理をすることが多くなってきているため、六曜にあまり馴染みのない人も増えてきていますが、結婚式は大安にこだわる、お葬式は友引を避ける、など、六曜を基準に冠婚葬祭の日取りを決める文化はまだまだ根強いです。
あなたは六曜の全ての意味を把握していますか?
大安は縁起が良くて、仏滅は良くないくらいの意味しか知らないのではないでしょうか?
しかし、六曜はどの日が良い、悪い以上に様々な意味をもっています。
その意味を知ることができれば、大安以外の日も重要な行動を起こす日が決められます。
今回は、六曜(六輝)の意味や由来、正しい読み方をご紹介します。
六曜ってそもそもどんなもの?
六曜は、中国で生まれたとされていますが、いつの時代から使われるようになったのか、誰が考案したのか定かではありません。
もともとは、1ヶ月(30日)を5等分して6日を周期として、それぞれの日を星ごとに区別するための単位とし、現在の七曜や、旬のような使われ方がされていたようです。
六曜が中国から日本に伝わったとされるのは、14世紀鎌倉時代末期から室町時代にかけてと言われていますが、「赤口」以外全ての名称が変わり、順序や解釈も少しずつ変化して、19世紀初頭に現在の形になったとされています。
幕末の頃には、暦にも盛んに記載されるようになり、民間に広まりました。
しかし、明治時代に入って旧暦から新暦に移行した際に、六曜の吉凶は迷信であることから、政府が六曜の使用を禁じます。
ところが、それが逆に注目を呼び、世界第二次大戦以降、政府の規制がなくなったこともあり、民間で広く使われるようになりました。
現在でも、六曜の科学的な理由のない迷信や慣習に縛られる事は差別につながるという考えから、大分県では六曜つきのカレンダーの配布を中止したことがありましたが、「六曜が記載されていてもカレンダーを配布してほしい」「六曜そのものを差別問題として考えるにはどうか」という要望や苦情が寄せられ、波紋を呼びました。
確かに、六曜には科学的根拠があるわけではありませんが、現在でも冠婚葬祭で六曜の日柄を重視する人が多いこともあり、これはもはや一つの習俗文化であるといっても過言ではないでしょう。
六曜それぞれの意味
大安(たいあん)
かつては「泰安」と表記され、「広く安らか」「大きく心が安し」という意味からきています。
何をするのにも良い日、成功する日と言われ、結婚式の日取りをはじめ、引っ越し、新築、自動車の納車日など、大安にこだわる人が多いです。
ところで、結婚式のスピーチの冒頭で「本日はお日柄も良く・・・」という挨拶が使われることがありますが、実は、これはお天気のことではなく、六曜の大安を指して言っているという事、ご存知でしたか?
赤口(しゃっこう、しゃっく)
赤口の読み方は、「しゃっこう」または「しゃっく」となります。六曜の中で比較的知られていないせいもあって正しく読めない方も多いです。
赤口は、六曜において凶日で、すべての物事に対して不吉、何事も避けた方が無難とされている日です。
「赤」の色が示す火の元と、血を連想させる刃物には、要注意をする日。
お祝い事や新たな行動は控えた方が良いと言われている手前、何も出来ない・・・と思ってしまいますが、実はそうとも限りません。
実は、正午前後の各1時間(午の刻、11時~13時)は吉とされています。
先勝(せんしょう、せんかち、さきがち、さきかち)
「先んずれば即ちかつ」の意味で、万事急ぐこと、思い立ったら即行動が吉とされます。
元々は、「速喜」「即吉」と書かれていましたが、現在は先勝。
読み方は、「せんしょう」、「せんかち」、「さきがち」、「さきかち」など様々です。
午前中は吉、午後2時から6時までは凶と言われています。
こんな日は早起きをして、早い時間のうちに行動を済ませてしまい、午後はすこしゆっくり過ごすのが良いかも知れませんね。
友引(ともびき)
元々は「共引」と書かれ、勝負事ですべて引き分けになる日とされていましたが、陰陽道において「友引日」というある特定の日に特定の方向で事を行うと友に災いが及ぶ、と言うものがあり、読み方が同じことから混同されて、「友引」になったと言われています。
現在では「凶事に友を引く」と言う意味とされていて、この日にお葬式や法事を行うと、死んだ人の「友」人が冥土に「引」き寄せられる、つまり他人の死を誘うと言う意味から、特に友引日にお葬式を行うことは全国的に避けられることが習慣となっています。
逆に、喜び事は「幸せを引き寄せる」と言う意味で結婚披露宴の「引」き出物を友引に発送することが最近の流行りのようです。
お葬式を避ける習慣から何か不吉なイメージのある友引ですが、実は午前中は吉、昼は凶、夕方は大吉、とお葬式以外においては案外縁起の良い日でもあります。
先負(せんぶ、せんぷ、せんまけ、さきまけ)
先勝の反対で、「先んずれば即ち負ける」と言う意味です。
元々は「将吉」と書かれていたのが「小吉」「周吉」になり、吉日とされていましたが、先負と言う名称に変わったときに意味が変わりました。
平静を守って吉、朝から昼までは凶、午後からは吉と言う解釈がなされます。
先負には勝負事や急ぐことは避けるのが良いとされていますが、現代人の生活では先負だからと言って午前中は動かない、何かをしない、と言うわけにはいきませんよね。
このような日は、何事も急がず慌てず、控えめな態度で静かに過ごすことを心がければよいのではないでしょうか。
いつも慌ただしい生活を送っている人は、時には急がずマイペースにどんと構える日を作ると心の余裕が出来て良いのかも知れませんね。
仏滅(ぶつめつ)
「仏様も滅びるような悪い日」と言う意味です。
仏滅と言うと、仏の入滅、お釈迦様の死という意味もありますが、実は六曜における「仏滅」は仏教とは関係ありません。
元々は「空亡(くうぼう)」「虚空(こくう)」と呼ばれ、全てがむなしいと言う意味でした。
全てが空しい日、「空になる」「すべてが無になる」、すなわち物がなくなると言うことで「物滅(ぶつめつ)」と呼ばれるようになり、読みは変わらず漢字だけが変わって現在の「仏滅」となりました。
仏滅と言うと縁起の悪いイメージがありますが、実は「物(仏)が一旦滅びて、新たに物事が始まる」状態でもある日です。
つまり、何か物事を始めるには良い日でもあるのです。
六曜の巡ってくる規則
六曜は常に
と言う順番で、6日ごとに規則正しく回ってきます。
しかし、カレンダーを見ていると、月の途中でいきなり規則を無視したように大安から先勝に飛んだりすることがあります。
実は、六曜は旧暦の月の初めで替わると言うルールがあります。
具体的には、旧暦において
- 1月1日と7月1日は先勝
- 2月1日と8月1日は友引
- 3月1日と9月1日は先負
- 4月1日と10月1日は仏滅
- 5月1日と11月1日は大安
- 6月1日と12月1日は赤口
と言う風に変わります。
尚、これは旧暦の日付で、現在のカレンダーと旧暦の対応する日は毎年変わります。
このように、時々不規則に思える順番に変化することも、六曜がただの迷信ではないと感じる人が多い理由の一つのようです。
六曜で縁起の良い順番とは?
六曜の中で一番縁起が良いのは大安であることは容易に想像がつきますが、六曜を縁起に良い順番に並べるとどうなるのでしょうか?
「吉」とされる時間が多い順に並べると、こうなります。
お葬式を避ける「友引」は、案外、吉とされる時間が長く、凶とされるのは正午のみ。それなりに縁起が良い日なのです。
ただし、午前中に物事を行うならば「先手必勝」と言う意味にかけて、「先勝」の方が縁起が良いと言う考え方もできます。
この2つを比べてどちらが縁起が良いかは、どんな物事をどんなタイミングで行うか、そのシチュエーションによって異なってくるでしょう。
「赤口」と「仏滅」は、実は同じぐらい縁起の良くない日ではあるのですが、「赤口」の方が正午のみ大吉と言うことで、「仏滅」よりは少し良いとされてます。
しかし、「仏滅」はゼロから新しくスタートすると言う意味もあるのに比べて、「赤口」は「慶事や新しい事を始めることを慎む日」とも言われているので、「赤口」の方が悪いと言う考え方もあります。
六曜と冠婚葬祭のタイミングとは?
結婚式
やはり、「大安の日」が一番人気があります。
しかし、ゲストの事を考えるて土日・祝日と大安が重なる日を希望する人が多いため、予約はかなり取りにくく、同じ会場内で結婚式が重なって混み合います。
大安の次に人気があるのは、「友引」です。
やはり、吉とされる時間帯が長いことと、慶事のため「喜びに友を引く」お裾分けの意味合いも兼ねているようです。
続いて人気なのは、「先負」。
先負で縁起が良いのは午後であり、ゲストにとっては結婚式が午後からの方がゆっくりと来ることができるためのようです。
午前中に挙式を行う場合は、「先勝」も吉です。
それに対して、「赤口」、「仏滅」の日は、結婚式場はかなり空いています。
最近は仏滅の日を安くする結婚式会場も増えてきていますが、結婚式は一生に一度のもの。
割引があっても、やはり縁起を担ぎたい人の方が多いようです。
結婚する当の本人達が気にしなくても、両家の両親・親戚の希望で大安に日程調整をするパターンが多く、日程調整で揉めてしまうケースもあるようです。
六曜は根拠のあるものではありませんが、日程の事でギクシャクしてしまうのも良くありません。
親族でよく話し合って、納得のいく日に日程調整をするのが無難です。
お通夜・お葬式
先述のように、「友引」を避けますが、それ以外の日はどの日にちでも大丈夫とされています。
そもそも、人がなくなるタイミングは選べませんから、お葬式やお通夜の日にちを選んでいる場合ではありませんよね。
とはいっても、友引はほとんどの火葬場が休みとなっているため、日をずらして行われることが多いようです。
ただ、最近は友引も開いている火葬場も少しずつ出てきています。
法事
法事に関してはお葬式と少し違い、友引ではなく「赤口」が比較的避けられているようです。
もう人が亡くなってから日がある程度経っているため、死に友を引き寄せることもないと考えられるためです。
六曜は仏教と関係がないため、「仏滅」だからと言って縁起が悪いわけではありません。
赤口を選ぶ理由も、六曜の中で何かを行わない方が良い日とされているから程度のことであって、法事に関してはあまり六曜を気にする必要はありません。
法事は親族が集まる機会でもありますから、皆が集まりやすい日にすることの方が大切と言う考え方が一般的のようです。
お寺参りや神社参りのタイミングと六曜は関係あるの?
既述のとおり、六曜は仏教だけでなく、なんの宗教とも関係のないものです。
そのため、仏滅にお寺参りをしてはいけないとか、大安に神社を訪れた方が良いと言うことはありません。
気になるのが神社で行う七五三やお宮参りの日取りですが、親心としては縁起の良い日取りを選びたいもの。
七五三は、本来11月15日にお祝いするのが習わしですが、11月15日に近い大安の日が人気となっているようです。
しかし、祖父母や親戚も一緒に七五三を行う家庭も多いため、都合を優先して、土日を選ぶケースも多くあります。
その際、六曜が気になるようであれば、友引の朝か夕方や先負けの午後、または先勝の午前と言ったふうに時間を調節すると良いでしょう。
お宮参りに関しては、男の子は生後31日目か32日目、女の子は生後32日か33日目に行う風習があります。
地域によって日数が異なる場合もあり、きっちりその日にお宮参りをしなければいけないと言うこともないので、やはり大安を選ぶ家庭も比較的多いです。
六曜を気にするケース、生後日数に合わせていくケースと分かれるようですね。
いずれにしても、大安は混みあいますので、お参りする神社やその後の食事の場所などは早めに計画する必要があります。
新車購入や引っ越しの際に気になる六曜のタイミング
結婚式や七五三などのイベントごとだけでなく、新車を購入する際や引っ越しの日取りに六曜を気にする人も多いです。
納車に関しては、「安全・安心」と言う意味も込めて、やはり「大安」が人気です。
契約日、登録日、納車日を徹底して「大安」にすると言う人もいます。
しかし、それよりも早く納車を希望する人もいるため、大安の都合が悪い場合は、仏滅・赤口のみを避ける程度にして、「先負」や「先勝」を選ぶこともあるようです。
友引は「友を引いてしまう」事故を連想する人もいるようですが、全く関係ありません。
自分の都合や六曜をどれだけ気にするかによって、納得いく日に設定しましょう。
引っ越しも六曜を気にする習慣が強く、「大安」は引っ越し業者の予定が埋まりやすく、引っ越し料金も高くなりがちです。
引っ越し屋によっては、仏滅の料金が安く設定してあることもあります。
赤口も縁起の良くない日ではあるのですが、仏滅に比べると料金が安くなることはあまりないようです。
それ以外だと、一人暮らしなどで引っ越しの時間が短時間で済む場合は、「先勝の午前中」で済ませるのもアリです。
先負は、慌てず控えめにすべきと言う意味もあるので、引っ越しにはあまり向いていませんが、午後から行うのなら問題ないようです。
引っ越し当日に急いだり慌てたりすることがない様に、準備を周到に済ませておくと吉です。
友引の場合、吉である朝のうちに荷物を運びこみ、凶である正午は中断して休憩を取り、その後作業を再開できるため、実は縁起を気にするならば合理的な日にちです。
人生の転機で大切な日だから、多少料金が高くなっても大安にこだわる! と言う人は、ぜひ早めに引っ越しの計画を立てましょう。
まとめ
六曜を気にするか、気にしないかは人それぞれです。
何か根拠があるわけではありませんが、「大安」だからと言う理由でポジティブな気持ちになれるのだとしたら、そのために大安を選ぶことは意味があります。
毎日六曜を気にして生活するわけにはいきませんが、特別な日くらいは縁起を担ぐのも良いですし、それぞれが気持ち良く過ごせるのがなによりです。
六曜の意味を正しく理解し、日本で大切にされてきた六曜の文化と柔軟に付き合っていきましょう。