虚言癖がある人、簡単に嘘をつく人が周囲にいると、本当に困ることが多いです。
共同作業でその人に割り当てられた部分が、本人の申告通りにできておらず、全ての作業を停止せざるを得なくなったり、その人のばらまいた嘘のおかげで周囲の人間関係がズタズタに切り裂かれたりしてしまいます。
今回の記事においては、虚言癖のある人の特徴を示し、それを発見した場合にどのように対策をとるべきなのか、紹介します。
快楽志向を強くうかがわせる言動が多い
京都大学の研究によれば、報酬、快感、恐怖、不安などに重要な役割を果たす脳の側坐核(そくざかく)が活発に活動する人ほど嘘をつく割合が高く、理性的な判断や行動のための作業記憶をつかさどる脳の領域である背外側前頭前野が活発に活動する人ほど、嘘をつかないとされます。
人前でTPOをわきまえず、快楽志向が強い言動を繰り返す人たちは、背外側前頭前野の機能が低下しているということが考えられます。
そういう人たちは、嘘をついたことの結果が自分に悪い方向に跳ね返ってくることを認識できないため、普通の人よりも嘘をつきやすくなるのです。
対策としては、可能であれば、その人たちに作業記憶を実践的に使う瞑想や、行動する際、自己洞察を繰り返して行わせることです。それらによって作業記憶の中央実行系である背外側前頭前野を鍛えることができます。
企業の研修や学生の体育会系の合宿で、禅寺において瞑想技法を学ぶということは、昔からありますが、背外側前頭前野を鍛えて理性的な判断能力を高めるためには有効です。
孤独への強い不安や恐怖に駆られている
マズローの欲求5段階説にもありますが、恐怖や不安から逃れたいという欲求は快楽や報酬への欲求を凌駕するものです。
背外側前頭前野の機能が低下していなくても、側坐核が活発に活動しているがために、孤独への強い恐怖や不安に駆られている人たちもいます。
そういう人たちは「自分を実像よりもよく見せなければ、他人から相手にされない」と思い込んでしまい、その結果として、より良く見せるための嘘をついてしまうのです。
嘘をつく人たちの中で、この手のタイプへの対策としては、その人たちを実像のまま受け入れてあげる準備があることを、根気よく、優しく教えてあげることです。
他人を道具としてみる言動が目立つ
社会的動物は、群淘汰を勝ち残るため、群れの仲間のことを思いやる感情をうみだすよう肉体の設計図である遺伝子に描き込まれます。
人間においては、脳の眼窩前頭前野(がんかぜんとうぜんや)に障害が生じると思いやりの感情が欠如し、他人を自分が利用するための道具としてしか認識できなくなり、他人にためらいなく嘘をつけるようになってしまいます。
嘘をつく人たちの中でこの手のタイプの人たちは、嘘をついた結果が自分に跳ね返ってくることを冷静に認識できる賢い人も多く、自分が損をすると判断できる場合には嘘をつきません。
対策としては、嘘をつかないことの利益を相手にしっかり提示することです。なお、長期の協力が必要な場合、途中であなたよりも大きな利益を提示する競争者があらわれる可能性が高くなることも注意してください。裏切りに備えて、予備の人材を確保しておくことも大切です。
期待される仕事についての基本的知識が粗い
脳の眼窩前頭前野に障害がない普通の人でも、相手のことを群れの仲間として認識できない場合、共感の感情が働かなくなります。
約束が守られるかどうかは、普段の人間関係にかかるところが大きいということは、18世紀にヒュームが指摘したとおりでしょう。
能力以上に大きな仕事を与えられて、その場逃れの嘘を周囲に繰り返してつき続けなければいけない状況では、普通の人でも周囲に対する共感の感情を持ちえなくなり、その周囲限定にですが、平気で嘘をつけるようになってしまいます。
対策としては、期待される仕事についての相手の基本的知識をよく確認し、相手の能力をよく見極めた上でその能力に応じた仕事を与えてあげることです。疑似的な虚言癖とも言えるこのタイプの人たちに関して言えば、本人たちよりも周囲の方が問題とされるべきです。
裏づけの乏しいプライドを抱えている
自分に対して実力の裏づけもないのに高い評価を与えている人たちは、自己イメージが壊れることへの不安から、正常性バイアスが働き、自分に都合の悪いことについては嘘をつきます。
このタイプの人たちは、自分の記憶を改ざんして、嘘を本当のことと思い込むようなこともあります。
対策としては、本人の自己イメージと実像を接近させてあげることです。相手の幻想を打ち砕くこと自体は簡単でも、後から問題になることもありますので、本人の実力を伸ばしてあげるという方向での解決といった視点も忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
虚言癖が生じる様々な理由を踏まえた上で、そういう人たちの目立つ特徴と対策を紹介いたしました。今回の記事によって、あなたの実生活において、嘘をつ人たちへの対策が少しでも進むようなことがあればば幸いです。