素敵な恋人と巡り合いたい、あるいは、結婚したいという人が「縁結びの神様(神社)」にお参りにいくという話はよく聞くと思いますが、仏様(お寺)にお参りにいくという話は聞く機会が少ないかもしれません。
そもそも、恋愛に効く縁結びの「仏様」は、存在するのでしょうか?
基本的には、仏教で愛欲は煩悩とされるため、縁結びのご利益を期待できる仏様はほとんどいません。
ですが、実は「愛染明王」と呼ばれる仏様だけは、煩悩としての愛欲を悟りに変えるという事を教えてくれます。
そのため、愛染明王は、良縁や結婚成就、夫婦円満のご利益があるとされており、愛染明王のご真言(マントラ)を唱えるだけ、恋愛成就の効果があるとも言われています。
今回は、その愛染明王のご真言、その唱え方をご紹介します。
愛染明王ってどんな仏様なの?
愛染明王とは、人間の煩悩としての愛欲を悟りに変えてしまう明王で、インド名を「ラーガラージャ」と言います。
「ラーガ」は「愛欲」、「ラージャ」には「王」という意味があり、「愛に染まった王」ということで、愛染明王の名がついたと言われています。
恋愛成就や縁結び、家庭円満にご利益があることで有名ですが、水商売の女性からの信仰もあります。
愛染明王の恋愛成就パワーは絶大ですが、一方的な愛情を助長する仏様ではありません。
意中の異性を自分の想い通りにしたいという独占欲や、相手に振り向いてもらうためにする必死な自己アピールなど、人間の弱い心を愛染明王はいさめます。
しかし、本当の意味でその人に必要なご縁であれば、しっかりと結んでくださるのが愛染明王です。
また、愛染明王は恋愛成就だけではなく、「愛染」=「藍に染める」という解釈から、染物・織物職人の守護仏でもあり、現在ではアパレルからも信仰対象になっています。
愛染明王のご真言とは?
愛染明王のご真言(マントラ)は、こちらです。
まずは、動画で愛染明王の真言を聞いてみてください。
真言を唱えるにはリズムが大切だと言われています。
この動画を参考にして、リズムに乗って唱えてみましょう。
愛染明王のご真言を唱えると、どんなご利益があるの?
愛染明王のご真言(マントラ)を30万回唱えると、あらゆる相手から慕われ、愛されるようになり、意中の人と結ばれると言われています。
30万回唱えようと思うと、1日に1000回唱えたとして、約10ヶ月かかります。
真言は唱える回数が多ければ多いほど効果があると言われていますが、気が遠くなる回数だと思う方も多いでしょう。
お経を唱えるのに良いと言われる回数は、3回、7回、21回、108回と言われています。
- 時間がないときは、3回か7回
- しっかりと祈願するなら、毎日21回
- 休日は、108回
であれば、できそうな気がするのではないでしょうか?
毎日繰り返していると、少しずつ回数が増え、それにつれて効果も少しずつあらわれてきます。
また、21日間毎日祈願することで、願いが成就しやすくなるとも言われています。
愛染明王のご真言を唱えているうちに、本当に意中の人と結ばれる人もいれば、他の良い相手と巡り合うケースもあるとか。
他の相手と巡り合った場合、最初に思っていた相手は、実は当人にとっては良くない人で、愛染明王が最善の道へと導いてくださった結果でしょう。
愛染明王のご真言(マントラ)を唱えてみよう
愛染明王のご真言(マントラ)を唱えるには、愛染明王の像があるお寺へお参りするのが一番効果的ですが、現実問題としてそう頻繁に行くことは難しいかもしれません。
その場合、家でご真言を唱えても効果があります。
家で唱える場合は、愛染明王の小さな仏像や写真、ポストカードなど、愛染明王のイメージが湧くものがあると効果的です。もしそれがないようであれば、心の中に愛染明王を思い浮かべて真言を唱えましょう。
お願い事を紙に書き、その紙を両手でぴったりと押さえ、手は必ず鼻よりも上に来るようにして、愛染真言を唱えると効果があると言われています。
数珠を持っている場合は、数珠を手にもってお祈りするのも良いです。
そもそも「明王」とは?
愛染明王の他にも「明王」と呼ばれる仏は、多数存在します。
なかでも有名なのは、「不動明王」ではないでしょうか?
明王とは、密教における信仰対象であり、悟りを開いた人とされる「如来様の化身」だと言われています。
ところで、「仏顔」というと優しくて穏やかな顔つきや、柔和な様子を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、明王と呼ばれる仏のほとんどは「憤怒の表情」をしています。
如来と呼ばれる仏は、穏やかな顔で優しい言葉で人々を悟りに導きますが、優しい言葉だけでは利き目のない人もいます。
そんな人々に目をむき、凄まじい表情で叱って仏道を教えようとするのが、「明王」と呼ばれる仏様たちです。
明王は決して怒っているわけではなく、仏教を説いて人々を救いたいという覚悟の表情を私たちに向けてくださっているのです。
愛染明王はどうして怖い顔をしているの?
愛染明王も明王のひとりであり、憤怒の表情をしています。
愛染明王も他の明王と同じように、憤怒の表情で悪や煩悩を追い払って、人々を正しい道に導こうとしているからです。
しかし、根はやさしく、愛染明王の内心は愛に満ちています。
身体は赤色をしていて、背後に日輪を背負い、頭には獅子の冠をかぶっているものが多いです。
手には6本の弓と矢を持っていて、その矢は人間の醜い嫉妬や支配欲を戒め、また愛のキューピットのように人や心を結びつける役割も果たすと言われています。
愛染明王が祀られている縁結びにぴったりのお寺はどこ?
愛染明王のご真言を唱えて縁結びを願うなら、一度はお寺の愛染明王に会いに行くことをオススメします。
愛染明王の仏像があり、縁結びにご利益があると言われるお寺を3つご紹介します。
1.伊豆・寝姿山山頂 愛染明王堂(愛染堂)
下田ロープウェイで登ることのできる寝姿山は、絶景スポットとしても知られていますが、山頂にある愛染堂には、愛染明王像が本尊として祀られていて、「縁結びの名所」と言われています。
縁結びだけではなく、子宝や夫婦円満にもご利益があるので、カップルでの参拝も多いです。
ここの愛染明王像は、もともと鶴岡八幡宮の本尊だったもので、明治政府によって神仏分離令が出されたときに仏像破壊を逃れるため、伊豆まで移されたとされています。
毎年6月にお焚き上げされる「ハートの絵馬」や、愛染明王のご利益がつまった「縁結びお守り」も非常に人気があります。
愛染堂の住所:〒415-0013 静岡県下田市柿崎 柿崎1279
2.愛染堂 勝鬘院
もともとは聖徳太子が開いた施薬院として建立された大阪のお寺です。
本尊として愛染明王が奉られているため、「愛染さん」と呼ばれて親しまれています。
「愛染めの霊水」を飲むと開運、夫婦和合、良縁成就、子宝、安産、出世、商売繁盛などのご利益があると言われていて、大変人気があるお寺です。
また、愛染堂の薬医門をくぐった右奥にある「愛染かつら」は、樹齢数百年と言われるパワースポット。
桂の木につるが絡んで一体となった姿が、仲のいい男女が寄り添っているように見えることから、カップルの縁を取り持ってくれる霊木として親しまれています。
また、境内にある多宝塔は、大阪市最古の木造建築物として国の重要文化財に指定されていて見応え十分です。
愛染堂 勝鬘院の住所:大阪市天王寺区夕陽ヶ丘町5-36
3.高尾山薬王院 愛染堂
高尾山は、東京近郊で気軽に行ける標高600メートルのレジャースポットですが、近年パワースポットとしても知られています。
そんな高尾山の中でも、縁結び・恋愛成就などに霊験あらたかと注目を集めているのが、高尾山の中腹にある「薬王院」です。
薬王院の本堂の裏手には「愛染堂」があり、全身真紅で見事な愛染明王の像を拝むことができます。お堂も赤色をしているのですぐにわかります。
鈴がついた縁結びのお守りや、赤い糸に五円硬貨が通されているお守りも、縁結びに非常に効果があるとして人気です。
リフレッシュを兼ねて、縁結び祈願をしに訪れてみてはいかがでしょうか。
高尾山薬王院 愛染堂の住所:東京都八王子市高尾町2177
まとめ
愛染明王のご真言やご利益についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
愛染明王の見た目は怖い顔をしているので、縁結びや恋愛を連想しにくいですが、内面はとても慈愛に満ちた仏様で、恋愛であと一歩勇気が欲しいという時にはきっと助けてくれます。
愛染明王のご真言を毎日唱えながら自分磨きをして、素敵なご縁をつかみ取りましょう。