あなたは易占いの成り立ちや、内容をご存知ですか?
易占いと聞くと、お箸のようなたくさんの棒をジャラジャラしている、白ひげの易者さんを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ちょっと興味を持って調べてみても、漢字と不思議な記号の羅列でチンプンカンプン。
『もういいや! 』という人もいらっしゃるでしょう。
今回は『易占い』について、できるだけわかりやすく、7つに分けてお伝えいたします。
易占いの特徴
易(えき)は、中国で生まれた占いで、その発祥は5000年以上前にまでさかのぼり、『易経(えききょう)』として完成したのも3000年以上前のお話です。
星占いやタロット占いとちがい、少しなじみが薄い易占いですが、その歴史は壮大で、最も古い占いの手法であり、学問であると言えます。
易が他の占いと違うのは、あらゆる事象や現象から導かれた統計学であるがゆえに、どのような問題でも占えるということ。
生年月日なども必要ありません。
相談内容にたいして、絶対的な否定はせず、どのようにしたら良いかを示してくれるのですが、その『卦(け)※占いの答え』の判断は、あなた自身(もしくは占術者)が、今の状況と照らし合わせて、想像力を働かせながら、読みとかなければならないのです。
易占いの歴史
前項でも少しふれましたが、易は、中国でできた占いで、その始めは、中国の殷(いん)の時代(前1700年~前1122年)にさかのぼります。
殷の遺跡から、焼かれてひび割れた亀の甲羅がたくさん出土されているのですが、その甲羅のひび割れの形で吉凶を占ったものが、占い自体の始まりではないかと言われています。
そこから、陰陽や五行の思想をからめ、整理されて、現在の『易経』に完成されたのは、周(しゅう)の時代(前1100年~前770年)に入ってからのことです。
これだけ聞くと漠然と『古くからある占い』という感じがしますが、『易経』の完成された時期を、日本の歴史と照らし合わせてみると、縄文時代晩期にあたるのです。
日本にまだ国というものも無く、狩猟をし、洞穴や竪穴式住居で暮らしていた頃に、すでに完成されていたと考えると、一気に現実味をおびて、信ぴょう性も高まりませんか?
易占いでの陰陽のあらわし方
易占いは、算木(さんぎ)の符号で陰陽をあらわします。
陰陽についてはこの後お伝えしますが、まずは符号を覚えておいてください。
簡単です。
一本の切れている算木『 - - 』が、陰
これだけです。
この符号は爻(こう)と呼び、易の本や、易をモチーフにしたグッズなどに描かれている、、『 ☱ 』や『 ☲ 』などの模様は、八卦という陰と陽の組み合わせを、爻で表したものになります。
この八卦についても、後ほどお伝えします。
太極と陰陽
易占いの根底にあるのは、『太極(万物の根源)』で、世の中の全ては『陰と陽』から成り立っているという、陰陽思想です。
言葉だけで思想と言うと重い感じがしてしまいますので、目で見てわかる太極陰陽図でご説明します。
『陰陽太極図(いんようたいきょくず)』
グッズや服のデザインとしても、よく使用されているので、どこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?
この図は、陰陽の象徴で、極めて大きなすべての根源、要するに、この世界全部であり、その中には、相互対立する陰と陽があることをあらわしています。
外側の大きな円が太極、円の中の白が陽、黒が陰となります。
陰と陽それぞれの中には、さらに小さな円で陰と陽が存在しています。
では、相互対立する陰陽とは何でしょうか?
身近なところで言うならば、表と裏、男と女、昼と夜、夏と冬、火と水、天と地、太陽と月などです。
すべての事象や現象が、この陰陽から成り立っているという考え方なので、あげればきりがありません。
そして、この大きく2つに分けた陰陽は、場所や位置、時間によって変化をします。
先ほどの太極陰陽図の大きな円が、右回りにグルグルと回転していると考えてください。
あなたがいる位置によって、陰と陽が大きくなったり、小さくなったりしますよね。
人の成長で考えるならば、生まれたときは『親と子』の関係から子は陰であり、『男と女』の関係から、男性は陽であり、女性は陰となります。
大人になって結婚し、親になると、今度は子に対して、陽へと変化をします。
少し難解ですが、この考え方こそが、易の基本となるのです。
陰陽から四象、そして八卦へ
先ほどの説明で、易占いの根底にある陰陽に関して、何となくご理解いただけたかと思います。
しかし、易占いをするには、陰陽から四象(ししょう)に別れ、そこから更に八卦(はっけ)、六十四卦(ろくじゅうよんか)へと進まなければなりません。
四象とは、太極陰陽図の中で見るところの小さな円を含めた考え方です。
陽の中には陰があり、陰の中には陽があるという部分です。
人で例えるならば、
陽の陰(少陰) = 女性的な男性
陰の陽(少陽) = 男性的な女性
陰の陰(太陰) = 女性的な女性
となります。
要するに、陰陽が二つ組み合わさった状態、それが四象なのです。
ここまで説明すると、八卦についてもピンとくる人がいるのではないでしょうか?
そう、八卦とは、四象それぞれに対し、更に陰陽を加えたものになります。
図にするとこうなります。
この八卦こそ、易が説く、この世の森羅万象の基本となる、
沢 = 陰・陽・陽 = 兌(だ)
火 = 陽・陰・陽 = 離(り)
雷 = 陰・陰・陽 = 震(しん)
風 = 陽・陽・陰 = 巽(そん)
水 = 陰・陽・陰 = 坎(かん)
山 = 陽・陰・陰 = 艮(ごん)
地 = 陰・陰・陰 = 坤(こん)
の八種になるのです。
八卦から六十四卦へ
最初は陰と陽の二種類で、すべてをあらわすことができる、と考えられていた陰陽思想。
ですが、その二種類だけではあまりにも広く、曖昧すぎるものでした。
そして、四象から八卦までになり、やっとある程度の『卦』が、具体的に示されるようになりました。
しかし、世の中の事象や現象は、基礎となる八卦のみでは、とてもあらわしきれないと考えるようになりました。
そこで、古代中国の賢人たちは、八卦と八卦を重ねて、六十四の卦をつくり、大成六十四卦(たいせいろくじゅうよんか)を完成させました。
六十四それぞれの卦に意味があり、すべてを爻(こう)であらわすとこのようになります。
八卦と八卦を重ねているので、一つの卦は、6本の爻から成り立っていることがわかります。
一番下から、初爻(しょこう)、二爻(にこう)、三爻(さんこう)、四爻(よんこう)、五爻(ごこう)、一番上は上爻(じょうこう)と言い、下3本の八卦を内卦(ないか)、上3本の八卦を外卦(がいか)と言います。
この上下に重なった、八卦同士の組み合わせである、六十四卦から導き出された『卦』の意味を読み取るのが、易占いなのです。
占い方とその道具
街やテレビで見かける、筮竹(ぜいちく)を使用した占い方には、本筮法、中筮法、略筮法の3種類があります。
正式に占う場合は、筮竹(ぜいちく)、算木(さんぎ)、筮筒(ぜいとう)、掛肋器(けろくき)の4つの道具が必要になります。
筮竹は、卦を立てる時に使用する、50本の細い竹の棒です。この筮竹をさばいて、数を出して占います。
算木は、陰陽の印や八卦が表示された、四角い板です。筮竹で出した数を、八卦に当てはめて表示するために使用します。
筮筒は、筮竹をまとめて置くために使用します。
掛肋器は、数えた筮竹を掛けておくためのものです。
これらを使用した易占いは、大変時間と手間がかかるので、しっかりと易を勉強した易者さんが行う占術となります。
では、あなたが簡単におこなえる、易占いの方法はないのでしょうか?
あります!
易占いで大切なことは、占いの形式ではありません。
・占いたいと思ったときを逃さない
・寿命や色事を語らない
この3つを守り、出た『卦』を真摯に受け止め、正しい解釈をすれば良いのです。
方法としては、コインやサイコロなど、陰陽さえわかれば、どのような形でも占うことは可能です。
例えば、外を歩いているときに占いたくなった場合、道具を使うのは、ほぼ不可能です。
そんなときは、あなたの前から歩いてくるのが、男性か女性かで占うこともできるのです。
男性は陽、女性は陰として、出会った人の性別を順に覚えていきます。
そうすると6人目に出会ったところで、下から順に爻(こう)で置き換えれば『卦』が立ちます。
例えば、
6人目 = 女性 = ‐ ‐
5人目 = 男性 = ―
4人目 = 男性 = ―
3人目 = 男性 = ―
2人目 = 男性 = ―
1人目 = 女性 = ‐ ‐
大成六十四卦で表すと、
☱
☴
となり、出た卦は『沢風大過』といった具合です。※大成六十四卦の図を参照。
ただし、その読みはあなた次第なので、直感と経験と情報をフルに活用して、判断しなければなりません。
『当たるも八卦、当たらぬも八卦』
という言葉がありますが、易占いにおける『当たる』『当たらない』は、『卦』の当たりはずれではなく、その『卦』から読み取った判断が当たった、はずれたという意味合いになります。
まとめ
いかがでしたか?
六十四卦それぞれの意味に関しては、また別の機会があればお伝えするとして、易占いの奥の深さを、大まかではありますが、あなたにお伝えできたのではないかと思います。
この記事をきっかけに、易占いに興味を持っていただけたら、嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。